Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
ワークショップ 消化器1 造影超音波は肝腫瘍以外の消化器疾患に必要か?

(S288)

膵疾患における造影超音波の有用性について

Usefulness of contrast-enhanced ultrasonography in pancreatic disorders

河合 学1, 廣岡 芳樹2, 川嶋 啓揮1, 大野 栄三郎1, 杉本 啓之1, 林 大樹朗1, 桑原 崇通1, 森島 大雅1, 中村 正直1, 後藤 秀実1, 2

Manabu KAWAI1, Yoshiki HIROOKA2, Hiroki KAWASHIMA1, Eizaburou OHNO1, Hiroyuki SUGIMOTO1, Daijurou HAYASHI1, Takamichi KUWAHARA1, Tomomasa MORISHIMA1, Masanao NAKAMURA1, Hidemi GOTO1, 2

1名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学, 2名古屋大学医学部附属病院光学医療診療部

1Gastroenterology and Hepatology, Nagoya University Graduate School of Medicine, 2Diagnostic and Therapeutic Endoscopy, Nagoya University Hospital

キーワード :

膵臓疾患の超音波検査には体外式超音波検査(US)と超音波内視鏡検査(EUS)がある.USは簡便で低侵襲な検査であり,膵癌診療ガイドラインにおいてもスクリーニングに勧められており(グレードB),EUSはCTやMRIと比較しても空間分解能に優れており,USやCTで捉えることが困難な病変に対しても有用とされている(グレードC1).
造影超音波検査はリアルタイムに病変の血行動態の把握が可能であり,質的診断能の向上に有用と考えられている.膵臓領域においては,近年では第二世代超音波造影剤のSonazoid®が主に用いられ,その有用性が報告されており,ヨードアレルギーや腎機能障害のため造影CTを施行困難な症例にも施行可能である.
当院では,膵腫瘍性病変に対しSonazoid®を用いた造影EUSを行い,カラードプラ造影法及び造影ハーモニック法による血行動態の定性的把握に加え,Time intensity curveを用いた定量的診断を施行し,その質的診断の有用性をこれまで報告してきた.なお,膵疾患におけるSonazoid®の使用は保険外適応であり,当施設IRB認可のうえ,十分なインフォームド・コンセントに基づき使用している.
今回他施設から,低侵襲な二次検査としての膵腫瘍診断における造影超音波検査の有用性,急性膵炎重症度判定に造影超音波検査を多角的に応用する試み,少膵癌の診断における造影ハーモニックEUSの臨床的有用性,膵頭部腫瘍のT staging評価における腹部造影超音波検査の有用性が報告された.
基本的には使用モダリティーによってUSとEUS,対象によって炎症性疾患(腫瘤形成性膵炎,急性膵炎,慢性膵炎,自己免疫性膵炎など)と腫瘍性疾患に分けられると思われる.それぞれのモダリティー・病態における造影超音波の成績を示し,どのような対象に対してどの検査法を実施するのが良いのかについてディスカッション出来ればと考えている.