吉田 昌弘¹, 田中 弘教^{1, 2}, 青木 智子^{1, 2}, 西村 純子¹, 柴田 陽子¹, 中野 智景¹, 會澤 信弘², 廣田 誠ー³, 西口 修平², 飯島 尋子^{1, 2}

Masahiro YOSHIDA¹, Hironori TANAKA^{1, 2}, Tomoko AOKI^{1, 2}, Junko NISHIMURA¹, Yoko SHIBATA¹, Chikage NAKANO¹, Nobuhiro AIZAWA², Seiichi HIROTA³, Shuhei NISHIGUCHI², Hiroko IIJIMA^{1, 2}

¹兵庫医科大学超音波センター, ²兵庫医科大学内科・肝胆膵科, ³兵庫医科大学病院病理部

¹Depertment of Ultrasound Imaging Center, Hyogo College of Medicine, ²Depertment of Internal Medicine, Division of Hepatobiliary and Pancreatic Disease, Hyogo College of Medicine, ³Depertment of Surgical Pathology, Hyogo College of Medicine

キーワード :

【目的】
Shear Waveを用いた非侵襲的肝線維化肝硬度測定には，VTQ（Virtual Touch Quantification），ElastPQ（Elast Point Quantification），SwSm（Shear wave with Smart maps），Transient Elastography（TE）等がある．我々は，4機種同時に肝硬度を測定した症例の線維化診断の有用性と新しいpropagation表示による特徴について検討した．
【対象・方法】
2014年7月から2014年11月に当院で組織学的に診断し，VTQ・ElastPQ・SwSm・TEの4機種すべてで測定しえた慢性肝疾患62例（C型/B型/NBNC型31/4/27例，男/女　24/38例，平均年齢　58.2±15.4歳）を対象．線維化ステージはF0‐1:25例，F2:11例，F3:16例，F4:10例．
VTQはACUSON S2000，ElastPQはEPIQ7，SwSmはAplio500，TEはFibroscanを使用．VTQ・ElastPQの測定は，右肋間で肝表より約1〜2cmにROIを設定し，安定し測定できた5回の平均値を，SwSmは3回測定しROI内の2ヶ所測定した計6回の平均値を，TEは既報に従い測定し簡易的にm/sに変換測定結果とした．本検討は院内倫理委員会の承諾を得た．
【結果】
VTQ/ElastPQ/SwSm/TEによる線維化ステージ別肝硬度はそれぞれF0-1;1.17/1.14/1.59/1.38，F2;1.31/1.28/1.66/1.48，F3;1.63/ 1.82/1.95/1.87，F4;2.27/2.12/2.54/2.38であった．肝硬変判別能をROC解析で検討するとVTQ/ElastPQ/SwSm/TEの曲線化面積（AUROC）はそれぞれ，0.912/0.930/0.925/0.895であり良好な判別能を示した．機種間の相関は，VTQ対ElastPQ，VTQ対SwSm，VTQ対TE，ElastPQ対SwSm，SwSm対TE，ElastPQ対TEの相関係数（r）は，それぞれ0.81/0.81/0.82/0.79/0.82/0.78（いずれもP＜0.001）であった．SwSmによるPropagationは図のようにShear waveの伝播を視認できた．
線維化ステージとの乖離例は8例（12.9％）認め，サンプリングエラー1例，炎症1例，測定不良3例，原因不明3例であった．機種間の乖離例は5例（8.1％）に認めた．
【結語】
多機種による肝線維化診断能は同等であった．SwSmによるPropagationは正確にShear wave伝播の様子を視認でき，信頼性が担保される点が新しい特徴である．