Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器3 消化器疾患における新技術

(S270)

肝細胞癌に対してUS-US fusionを用いたラジオ波焼灼術

US-US fusion in radiofrequency ablation therapy for hepatocellular carcinoma

南 康範, 工藤 正俊

Yasunori MINAMI, Masatoshi KUDO

近畿大学医学部消化器内科

Gastroenterology and Hepatology, Kinki University Faculty of Medicine

キーワード :

【背景】
ラジオ波焼灼術(RFA)におけるsafety marginについて,超音波では焼灼によって腫瘍像が不明瞭となるためにその評価が困難となる場合が多い.そのため,一般的にRFAの治療効果判定として超音波以外のCTやMRIが用いられる.一方,fusion imagingにおけるoverlay functionの1つであるUS-US fusionを用いると,RFA前後の超音波像を重ね合わせることによってプローブの動きに従ってリアルタイムに腫瘍像と焼灼範囲を3次元的に評価することができる.
【目的】
肝細胞癌(HCC)へのRFA治療におけるUS-US Fusionの有用性を検討した.
【対象・方法】
対象は2014年7月から2014年9月に当院にてRFAを施行した肝細胞癌18症例19結節である.男性14例,女性4例,平均年齢は71.7歳であり,平均腫瘍径は1.3cmであった.使用した超音波装置はLogiq E9(GE Healthcare)である.US-US fusionの手順として,RFA前に腫瘍を含めた領域をsweep scanすることでvolume dataを取得(Bモードおよび造影モードの両方で可能)し,そのvolume data内における腫瘍境界を3次元にトレースして腫瘍を色付けする.そして,焼灼治療後に治療前のvolume dataとリアルタイムの画像をside-by-side表示し,画像の位置合わせをした後で画像を重ね合わせた.トレースした腫瘍が焼灼による高エコー域内に3次元的に治まっていることを確認してRFA治療を終了している.
【結果】
全例において1st sessionにて治療成功を達成した.そして,観察期間において局所(遺残)再発は認めていない.また,重篤な合併症も認めなかった.
【結語】
US-US fusionを用いて超音波によるablation marginの評価を行い,遺残なくRFA治療することができた.しかし,画像の重ね合わせには,肝の歪み・呼吸性移動・煩雑な操作などの課題もある.US-US fusionを用いて「safety marginの確保」が担保されるならば,RFAの治療効果判定として従来行われているCT/MRIを省略できると期待する.