Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 消化器
シンポジウム 消化器1 Critical pointを決定する超音波のサイン

(S260)

急性胆嚢炎のCritical Point

How does ultrasound influence the management of cholecystitis?

岡庭 信司

Shinji OKANIWA

飯田市立病院消化器内科

Gastroenterology, Iida Municipal Hospital

キーワード :

胆道感染症は,発熱,腹痛,黄疸といったいわゆるCharcotの3徴といわれる臨床徴候を参考にして診断されてきたが,典型的な臨床徴候を伴わない例もしばしば経験する.一方,急性胆管炎・胆嚢炎ガイドライン2013では急性胆嚢炎が疑われるすべての症例に対してまず超音波検査(US)を行うべきとしている(推奨度1,レベルA).
・急性胆嚢炎のUS所見
急性胆嚢炎のUS所見としては,①胆嚢腫大(短径36mm≦),②胆嚢壁肥厚(体部肝床側で4mm≦),③結石(頸部から胆嚢管陥頓),④デブリエコー,⑤Sonographic Murphy’s sign(探触子による胆嚢圧迫時の疼痛)が重要である.さらに肥厚した壁内に低エコー帯を認めることが特徴的であり,不整な多層構造を呈する低エコー帯(striations)は1層のみの低エコー帯より診断的価値が高い.
・USによる重症度判定
以前には,重症急性胆嚢炎は緊急胆嚢摘出術や胆道ドレナージの対象となる病態と捉えられてきたが,最近では臓器障害による全身状態をきたし呼吸・循環管理などの集中治療を要する胆嚢炎とされている.
急性胆嚢炎のUS所見を臨床的重症度およびAPACHEⅡscoreと比較検討した報告では,1度(走査時圧痛,胆嚢腫大,壁肥厚),2度(1度の所見+壁内低エコー帯,デブリエコー,胆嚢床あるいは胆嚢壁内膿瘍),3度(1・2度の所見+腹腔内膿瘍,液体貯留,胆管所見,肝膿瘍)の3群に分類することにより強い相関を認めたとしている.さらに,急性胆嚢炎の患者が経過中に急変・増悪した場合には,胆嚢捻転,気腫性胆嚢炎,壊疽性胆嚢炎,胆嚢穿孔,急性胆管炎の併発を考慮してUSを再検する必要性がある.
・治療の時期と選択
急性胆嚢炎と診断したら,血圧,脈拍,尿量などのモニタリングの上で,絶食,輸液,抗菌剤,鎮痛剤投与などの初期治療を直ちに開始する.さらにUSやCTを用いた重症度判定を行い胆嚢摘出術や経皮的胆嚢ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage: PTGBD)の適応を検討する.
前述のUS所見による分類の1度では,発症から72時間以内であれば腹腔鏡下胆嚢摘出術による早期手術が可能でありPTGBDの必要はない.早期手術を選択せずに保存的治療が行われた例では24時間以内の初期治療に反応しない場合にPTGBDを考慮する.2度ではしばしば局所の高度な炎症を伴うため胆嚢摘出術が困難となる可能性が高く,急性炎症が消褪してからの待機的胆嚢摘出術が第一選択となる.そのため初期治療に速やかに反応しない例では直ちにPTGBDを行う.臓器不全を伴わない3度(胆汁性腹膜炎,胆嚢周囲膿瘍,肝膿瘍を伴う)と胆嚢捻転症,気腫性胆嚢炎,壊疽性胆嚢炎では全身状態の治療管理下に緊急手術を選択する.臓器不全を伴う例では患者の全身状態は著しく低下しているため直ちにPTGBDを行い全身状態の回復を待って胆嚢摘出術を行うことを考慮する.
・画像診断の際に注意すべき点
急性胆嚢炎の発症早期には血液検査や画像検査で異常所見を認めない例や,胆嚢捻転,気腫性胆嚢炎,壊疽性胆嚢炎,胆嚢穿孔,急性胆管炎の併発により短時間に病状が増悪する例があることを念頭に置き,時期を変えてUSを再検することが重要である.さらに急性胆嚢炎の原因として胆嚢管結石や胆道癌も念頭に置いてUSを施行することが必要である.