Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器1 心不全チーム医療のための心エコーの活用(心エコー図学会との共同企画)

(S237)

心不全チーム医療において看護師はいかに心エコーを活用するか

Utilization of echocardiography findings in heart failure disease management: essential knowledge and skill required for nurses

林 亜希子, 眞茅 みゆき

Akiko HAYASHI, Miyuki MAKAYA

北里大学看護学部

School of Nursing, Kitasato University

キーワード :

慢性心不全患者の多くは再入院を繰り返すため,心臓救急の現場では,再入院予防への対策が急務となっている.心不全患者は,高齢,多疾患の合併,精神認知機能の低下,独居などの社会的問題など,多様な問題を抱えており,今後ますます多面的かつ個別性の高い治療,管理が求められる.欧米では1990年代半ばから心不全患者を対象に,主に多職種チームによる患者教育,治療コンプライアンスの向上,患者モニタリング,治療薬の調節,看護師による訪問看護などで構成される「疾病管理プログラム」の予後に対する有効性を検証され始め,疾病管理プログラムは,死亡率や再入院率の低下,QOLの改善,さらには医療費の削減や入院期間の短縮に有効であることが示されている.疾病管理プログラムの有効性に関する研究から見えてくることは,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士,管理栄養士,臨床心理士などの幅広い医療専門職のチームへの参画と,包括的な管理,ケアが心不全治療の基盤であるという点である.
チームアプローチが効果的に機能するためには,参画する各職種が患者の病態情報,治療方針,ケア目標を共有することが不可欠である.心不全治療・管理における心エコーの情報は,治療方針の決定,予後の評価に用いられる重要な診療情報であることはいうまでもなく,医師のみならず,心不全チーム医療の中核を担う看護師も十分に理解することが求められている.また,心エコーの情報が治療方針の決定や今後の病態進行の予測にどのように活かされているかを理解した上で,ケア方針を構築することは,心不全を専門とする看護師に求められる重要な能力のひとつである.さらに,心不全医療の現場は病院から在宅全体に広がっており,在宅で生活する心不全患者の心機能をどのように評価するかは,在宅治療・ケアの質に関わる大きな課題と考えられる.したがって,病棟で急性期あるいは慢性期の心不全患者をケアする看護師のみならず,在宅で心不全患者を支援する訪問看護師などが,どのように心エコーの知識を獲得するかも今後の課題と言える.本セッションでは,心不全医療に従事する看護師の心エコーの知識の現状と今後の課題について議論したい.