Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 循環器
シンポジウム 循環器1 心不全チーム医療のための心エコーの活用(心エコー図学会との共同企画)

(S236)

CCUでの心エコー:チーム医療としての課題

Echocardiography in CCU: How its results should be shared and utilized by all medical staff

岩倉 克臣

Katsuomi IWAKURA

桜橋渡辺病院心臓血管センター

Cardiovascular Center, Sakurabashi Watanabe Hospital

キーワード :

CCUは最重症の心疾患症例を扱う部門である.そのため病態についても特に詳細な情報が必要なのであるが,刻々と変化する状態に対応すべくリアルタイムにアップデートされることが求められる.急変に至る症例が多いこともCCUの特徴であり,現場において迅速な情報が必要とされる.人工呼吸器,補助循環装置などを装着している症例も多く,検査のための移動には困難を要することも少なくない.心エコーには可搬性に優れ現場で直ちに検査が実施できること,血行動態についても非観血的に評価が出来ること,被曝などのリスクがなく何度でも繰り返しての検査が可能であるなどの利点があり,それらは上記のような,CCUでの厳しい要求に一致するものである.CCUこそ心エコーの持つポテンシャルが最大限に発揮できる部門である.
急性冠症候群であれば,入院時の心エコーにより基本的な病態とともにリスク評価も可能である.特にショック・重症心不全などを伴う重症例では心エコーで左主幹部病変,多枝病変,機械的合併症などの可能性を明らかにすることが出来,迅速な対応が可能となる.心不全例では原因疾患の鑑別診断に役立つのみならず,血行動態を評価することにより急性期治療の方針を決定にも大きな役割を果たす.病状が増悪した場合には,心エコーを再検することで病態を再評価し,方針の再検討を行うべきである.さらに急変時には迅速に心エコー検査を実施し,急変の原因を究明しそれに応じた処置を行うことが必須である.
CCUでの治療は医師・看護婦のみならず,臨床検査技師,診療放射線技師,臨床工学技士,さらには薬剤師,理学療法士を含めた横断的チームをもって初めてなりたつものである.心エコーをチーム医療の中にどのように組み込んでいくかがCCUでの治療の質を向上させるために重要な意義をもつ.その際に問題となるのは心エコーの情報をどのように共有していくかである.心エコーでどんなに詳細な情報が得られても,それが医師・検査技師にしか理解されていないようでは,その価値は半減する.残念ながら医師・検査技師と看護師などのスタッフとの間には心エコーの基本理解についてのギャップが存在している.その克服は容易ではないであろうが,乗り越えなければならない壁である.院内講習会などを通した看護師への心エコーの基本についての教育が行われているが,それだけでは不十分であろう.医師・検査技師の側には心エコー所見を「病態として」十分に解釈した上で,他職種スタッフに分かりやすいように伝えるスキルが要求される.
そもそもCCU内では他職種の協力がなければ心エコー図検査を実施することすら出来ない.殆どの症例にはモニター装置が装着され,中心ルートや動脈内圧モニターもしばしば挿入されている.各種大型装置が装着されている症例も多い.このような状態では心エコー装置の取り回しにも注意が必要であり,スタッフの協力がなければ検査の実施は不可能である.さらに装置をCCU内に持ち込むことによる院内感染の問題も無視できず,感染予防対策のためのスタッフ間の協力も必須である.このような物理的制約もチーム医療して取り組む必要があろう.
本シンポジウムでは当院CCUでの心エコー図検査の実際およびスタッフ間での取り組みを紹介するとともに,上述したような問題点をどのように克服していくかを検討していきたい.