Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
ワークショップ 領域横断 超音波ガイドラインのあり方を探る

(S216)

血管エコーにおける標準的評価法

Standard method for ultrasound evaluation of vascular diseases

松尾 汎

Hiroshi MATSUO

医療法人松尾クリニック

President, MATSUO CLINIC

キーワード :

【診療ガイドライン】
ガイドラインとは,「特定の臨床状況において,適切な判断を行うために,医療者と患者を支援する目的で系統的に作成された文章」と定義され,一方で「拘束するものではない」とも提示されている.多くの領域で,診療上重要度の高い医療行為に関して,Evidenceに基づいたガイドラインとして,Evidenceのsystematic review,その総体評価,益と害のバランスなどを考慮し,患者と医療者の意志決定を「支援する」ために最適と考えられる推奨を提示する文章として作成されている.
【血管エコーのガイドライン】
血管エコーでもEBMの手法に厳密に基づくことが望ましいが,血管エコー領域は未だEvidenceが少なく,専門家の判断や意見も採用せざるを得ず,血管エコー関連は,診療ガイドラインとしての基準を満たし得ないと考え,「超音波による標準的評価法」という形式で提示してきた.しかし,施設によって異なった検査方法や手順などを調整し,標準的な超音波検査法を明確化して提示することは,不必要な検査や不適切な適応を排除できる.また標準的検査法を広く周知することによって業務内容や診断の質の均質化や向上を図ることが可能となると考えている.
必要な事項としては,目的,対象,検査機器・プローブ,条件,前処置・準備,説明,検査着,体位・操作法・走査法,検査手順,表示法:断層法,ドプラ法,カラードプラ法,評価項目・血流評価,負荷法などがある.
【血管エコー領域での現況】
「血管」とは動脈と静脈の総称である.血管疾患には動脈疾患(脳・頸動脈,大動脈,腹部・腎・末梢などの疾患)と静脈疾患(深部静脈血栓症,静脈瘤など)がある.従って,血管エコーの対象血管は,頸動脈,大動脈など,全身の血管である.
現在までに,頸動脈病変の評価法,下肢静脈では深部静脈血栓症の評価法,大動脈・末梢動脈での瘤,解離,閉塞症の診断法,腎動脈病変の評価法において取り纏められいる.現在は,頸動脈と下肢静脈とで,それらの改訂が始まっている.今回の報告では,今までの経緯と今後の改訂に向けての課題について述べる.