Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 0.677(2017年)→0.966(2018年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2015 - Vol.42

Vol.42 No.Supplement

特別プログラム 領域横断
パネルディスカッション 領域横断2 カラードプラを活かす

(S206)

頭頸部腫瘍診断におけるカラードプラ

Color Doppler in head and neck tumor

古川 まどか

Madoka FURUKAWA

神奈川県立がんセンター頭頸部外科

Department of Head and Neck Surgery, Kanagawa Cancer Center

キーワード :

近年,超音波診断機器の技術向上に伴い,表在領域の血流を,カラードプラを用いて詳細に描出することが可能となり,病変内外の血流分布状況をみることで病変の形態的変化を捉えることができ,病変の質的診断,病勢の把握が可能となることがわかってきた.
たとえば,頸部リンパ節疾患では,炎症性腫脹の場合は,本来のリンパ節構造として観察されるリンパ節門から入りリンパ節皮質に分布する血流シグナルが強くなり,悪性リンパ腫ではリンパ節門の血流が増加し血管そのものも太くなるとともにリンパ節被膜にも血流シグナルが観察されるようになる.一方,癌のリンパ節転移の初期では,リンパ節内部に新たに生じた転移病巣の圧排によって,リンパ節の血流が偏在するようになる.リンパ節転移が進行して被膜外浸潤をきたすと,浸潤部の先端で血流が観察される傾向が出てくる.Bモード診断に加えて,これらの特徴的な血流変化に着目することで,より精度の高い超音波診断が可能となる可能性が示唆されている.
頭頸部は血流が豊富な領域であり,呼吸,体位,息こらえなどによってその血流を人為的に調節することも可能であり,カラードプラを用いた血流診断にもそれらの手法を取り入れることで,よりダイナミックな血流観察が可能となり,カラードプラの診断的価値もさらに向上することが期待できる.
現時点でのカラードプラの問題点として,超音波診断装置メーカーや機種によって,血流シグナル表示の設定などが微妙に異なり,同一機器での検査でないと,正確な比較や判断が困難なことが挙げられる.今後,定量的検討や各種疾患の診断基準作成を試みるにあたって,一定の基準のもとに診断機器の調整を行い,メーカー間,機種間の違いを可能な限り少なくしていくことが望まれる.さらに,安定した血流シグナルを記録として残せるような,基本的かつ標準的な手技を確立させることも必要と思われる.今後,頭頸部疾患の診断においてカラードプラが普及することで,こういった問題が解決されていくことを期待したい.
頭頸部疾患の実臨床におけるカラードプラの活用法について提示するとともに,他領域での活用法を参考にし,今後の展望について考察する.