Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター コメディカル
消化器・泌尿器

(S783)

当院の腹部超音波検査における教育:腹部超音波がん検診基準を用いて

Education in abdominal ultrasound examination of our hospital:Using the guideline for abdominal ultrasound cancer screening

西村 はるみ, 王子 史恵

Harumi NISHIMURA, Fumie OJI

JA長野厚生連安曇総合病院診療協力部診療放射線科

Department of Radiology, Azumi General Hospital

キーワード :

【はじめに】
腹部超音波検査(以下,US)は放射線被曝や苦痛も少ない検査法であるが,一方で,非侵襲的であることからむしろ安易に扱われることもある.そのうえ,十分な教育が実施されている病院は多くない.USの診断能は検査担当者の技術レベルに依存するという弱点があるが,実施方法についての明確な規定がなく,さらには,1件あたりの検査時間や1日の検査数が常に問われる状況で,『雑な接遇,雑な検査,雑な画像記録,雑なレポート』が習慣になってしまい,技術レベルの向上どころか維持さえ困難な状況も危惧される.
2011年7月に日本消化器がん検診学会から『腹部超音波がん検診基準』(現「腹部超音波検診判定マニュアル」(案))(以下,基準)が発行された.これは,USの質の向上を目指した実施基準であり,広く普及させることにより,USの質的向上と均質化および,がんに対する判定基準の共通化を諮るものである.今回,基準を用いて検査担当者の育成を行った.その教育効果を報告する.
【対象と方法】
期間は20xx年x〜x月の3か月間で,健診にてUSを施行した計196件.基準を用いて日本超音波医学会認定超音波検査士が検査担当者の育成を行った.使用装置:GE横河メディカルシステム社製LOGIQ7,探触子:4Cコンベックスプローブ,9L高周波プローブ.
【結果】
基準を用いて育成を行ったことで,技術的な面と判断の面で均質化された.
【考察】
短期間の教育期間中に検査担当者は基準の熟知が必要で,鑑別点をしっかりと念頭に置いて検査に臨むことが求められたが,病変を発見した時点でどの基準にあてはまるのかを考えるため,細部の観察(高周波プローブや拡大機能の活用)まで注意深く行うようになり,USの質的向上につながると考えられた.また,最低限のチェックポイントが超音波検査士と初心者とで共有でき,曖昧だった計測方法など,ばらつきが出やすい部分も統一することも可能であり,走査そのものに要する時間も含め,均質化され技術レベルの底上げになることも考えられた.さらに,指導した側の超音波検査士も,今まで以上の基準の熟知と注意深い観察を行うことになり,自らの技術レベルの向上にもつながった.
【結語】
基準を用いて教育を行うことで,USの質的向上と均質化につながると考えられた.