森 典子, 関 康史, 吉田 尚弘, 福田 いずみ, 渡辺 大輔, 安藤 孝, 森本 聡, 市原 淳弘

Fumiko MORI, Yasufumi SEKI, Naohiro YOSHIDA, Izumi FUKUDA, Daisuke WATANABE, Takashi ANDO, Satoshi MORIMOTO, Atsuhiro ICHIHARA

東京女子医大病院高血圧・内分泌内科

Hypertension and Endocrinology, Tokyo Women’s Medical University

キーワード :

【背景】
甲状腺結節の良悪性の鑑別には，頸部超音波検査が有用であり，甲状腺結節診断基準が用いられている．すなわち，形状が不整，境界が不明瞭で粗雑，内部エコーレベルが低く，不均一である，内部微細高エコーが多発している，境界部低エコー帯がないあるいは不整であるなどの所見である．このような基準がもうけられているが，エコー診断技術が熟達していない場合，良悪性の判断が不十分なまま不要な検査やあるいは精査が不十分であるといった問題が散見される．
【目的】
今回我々はTOSHIBA，Aplio400に付属するelastgraphy, MicroPureを用い，甲状腺結節の硬さ，および点状高エコー（微小石灰化）の有無を評価し，結節の良悪性の判別に役立つかを検討することを目的とした．
【結果】
東京女子医大病院を受診し，甲状腺結節を指摘された28人において甲状腺超音波を施行した．そのうち充実性病変のある10人の結節の硬さ，微小石灰化の評価を行った．
elastgraphyで甲状腺実質と同程度〜やや軟が6例，そのうちMicroPureでシグナルのみられる症例が2例認められたが，いずれも嚢胞内点状高エコーであった．甲状腺実質がやや硬〜硬が4例でありそのうちMicroPureで微小石灰化を示唆する所見が1例認められ，細胞診でClassV・乳頭癌疑いであった．他3例は石灰化を示唆する所見なく，うち1例は画像上微小乳頭癌を疑わせる所見であった．
【考察】
超音波検査において甲状腺領域は頸動脈検査などから偶発的に見つかる場合もあり，必ずしも専門医が診断しない場合もある．そのような場合にelastgraphyやMicroPureといった手法を組み合わせることにより，悪性を疑う疾患をスクリーニングする助けになると考えられる．