Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 甲状腺
甲状腺一般示説1

(S769)

超音波検査が有用であったサルコイドーシス合併副甲状腺腺腫の一例

A case of the parathyroid adenoma with Sarcoidosis, diagnosed using the high end ultrasound device

福島 俊彦

Toshihiko FUKUSHIMA

福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座

Department of Thyroid-endocrinology, Fukushima Medical University

キーワード :

サルコイドーシスを合併した副甲状腺機能亢進症の診断,治療方針決定に,ハイエンド機種による超音波診断が有用であった症例を経験したので報告する.
症例は70歳代女性.既往歴に尿管結石や右眼ぶどう膜炎があった.腰痛で近医整形外科受診し,スクリーニング検査で高カルシウム血症・低リン血症を認め,当科紹介となった.高カルシウム血症(10.9mg/dl),低リン血症(1.9mg/dl),intact-PTH高値(140pg/ml),左橈骨の骨量はYAM値で60%,T-scoreで-3.8と骨量低下を認め,原発性副甲状腺機能亢進症と診断した.局在診断として,99mTc-MIBI scan,頚部超音波検査,造影CT検査を施行したが,責任病変の同定には至らなかった.一方,CTにて縦隔・肺門部にリンパ節腫大を偶発的に認め,精査にてサルコイドーシスと診断された.高カルシウム血症の責任病変が不確定であり,副甲状腺機能亢進症としては局在診断もついていないことから経過観察となった.
初診後10ヶ月後に,ハイエンド機種による観察を行う機会を得た.甲状腺右葉に腺腫様結節を認め,さらにその結節の背側に腫大副甲状腺を疑う結節を認めた.また,経過観察中に尿管結石症の再発を認めたことから手術適応とした.
初診後14ヶ月後に全身麻酔下手術施行.甲状腺右葉に結節とその背側に腫大副甲状腺を認めたが,共通の被膜で包まれ,癒合が高度あったため,剥離による播種の可能性を考慮し,右葉切除を併施した副甲状腺摘出術を施行した.右葉背側の結節は,術中迅速病理診断にて副甲状腺の増殖性病変,永久報本で腺腫と判断された.
術後は,血清カルシウム,intact-PTHともに正常化した.
サルコイドーシスは,高カルシウム血症を伴うことがあり,副甲状腺機能亢進症の治療方針決定に苦慮した.文献的な考察を交えて報告する.