Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎児異常

(S757)

救命しえた,胎児水腫を伴ったCPAM(Congenital Pulmonary Airway Malformation)の一例

A case of CPAM with hydrops,which followed a good course

名古 崇史, 安藤 歩, 秦 ひろか, 五十嵐 豪, 中村 真, 水主川 純, 田中 守

Takafumi NAKO, Ayumi ANDO, Hiroka HATA, Suguru IGARASHI, Shin NAKAMURA, Jun KAKOGAWA, Mamoru TANAKA

聖マリアンナ医科大学産婦人科

Obstetrics and Gynecology, St. Marianna University School of Medicine Hospital

キーワード :

CPAM(Congenital Pulmonary Airway Malformation)は胎児水腫を伴った場合非常に予後不良とされ,報告上では約90%程度は周産期死亡につながると言われている.
今回我々は胎児水腫を伴ったCPAMtypeⅡに対して,妊娠31w1dに帝王切開術を施行し,出生児の救命が可能であった一症例を経験したので報告する.
症例は29才0G0P自然妊娠で妊娠初期より他院にて妊婦健診施行.妊娠24wの妊婦健診で胎児横隔膜ヘルニア疑いにて,妊娠24w4d当院へ紹介となる.当院での診察にて2cm未満の小嚢胞が多発し縦隔の偏移を伴う右肺のCPAMtypeⅡと診断.CVR=2.28で著名な胎児水腫と胎児腹水あり,またAFI23cmと羊水過多を伴っていた.胎児水腫を伴ったCPAMであり非常に予後不良な可能性が高いことを十分に説明し,治療としてはCPAMtypeⅡのため母体にステロイド投与を行った.妊娠27w4dにはCVR=3.03で胎児水腫傾向も増悪し,臍帯動脈血流の逆流を認めた.妊娠28w4dよりCVR=2.64,UmARI=0.81と軽度CVRと臍帯動脈血流所見の改善傾向を認めたが,AFI34cmと羊水過多の増悪を認めた.妊娠31w0d前期破水となり,分娩法法については,ご本人ご家族,新生児科医,小児外科医と相談し非常に予後不良な可能性が高いが,児を救命できる可能性がゼロではないと考え,十分な相談の上妊娠31w1dに全身麻酔下に帝王切開分娩となる.児は男児,体重2016g,身長38cm,Apgarscore 3/4であった.出生児は胎児期の状態より循環呼吸管理に難渋することが予想されたが,人工呼吸器にて通常の呼吸管理が可能であり,日齢35日に右上葉嚢胞切除術を施行した.術後経過は順調に経過し,術後約3ヶ月で退院となった.現在生後約12ヶ月経過し,退院後は一時的に在宅酸素療法を必要としていたが,現在は酸素投与無く順調に経過されている.胎児水腫を伴ったCPAMは非常に予後不良であると一般的には考えられるが,本症例のように児の予後が良好である可能性もあるため,その周産期管理には新生児科医,小児外科医と十分な連携の上慎重に判断されるべきであると考えられる.