Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般ポスター 産婦人科
胎児異常

(S756)

Severe FGRを認めたOsteocraniostenosisの一例

A caes of osteocraniostenosis combined with severe FGR

東島 愛, 長谷川 ゆり, 松本 亜由美, 吉田 敦, 金内 優典, 三浦 清徳, 増﨑 英明

Ai HIGASHIJIMA, Yuri HASEGAWA, Ayumi MATSUMOTO, Atsushi YOSHIDA, Masanori KANEUCHI, Kiyonori MIURA, Hideaki MASUZAKI

長崎大学産婦人科

Obstetrics & Gynecology, Nagasaki University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
Osteocraniostenosisは,細い長管骨,頭蓋骨の骨化不全や変形,顔面中心部の低形成,前額突出,小さい鼻など特有の顔貌を認める疾患である.出生前の超音波検査では,上記所見の他に,胎生期より骨折とその治癒部位の化骨を認めることがある.典型的な症例では生後早期数ヶ月で死亡の経過をたどる重篤な疾患で,その死因は胸郭低形成による呼吸不全であることが多い.本疾患は1988年にKoziowski K.らによって最初に報告され,その後の報告は散見される程度で,本邦においても数例のみが報告されている稀な疾患である.私どもは,severe symmetrical FGRを認めたosteocraniostenosisの一例を経験したので報告する.
【症例】
母親は37歳の2経妊2経産婦.
妊娠初期よりAクリニックで妊娠管理されていた.24週より胎児発育不全(FGR)を認めていたが,発育があったため未精査で経過観察されていた.33週5日,里帰り分娩のためBクリニックへ紹介されたが,FGRであったため,34週4日にC総合病院へ紹介された.FGRに加え,多発奇形を認めたため精査及び妊娠分娩管理目的で35週4日に当科へ紹介された.当科初診時,FGR(EFBW : 1,445g(−3.4SD)),羊水過多(AFV : 88mm,AFI : 3.3cm),クローバー様頭蓋,小顎と舌突出,胸郭狭小および両側水腎症を認めた.羊水染色体検査は正常核型であった.小顎,舌突出により気道確保が困難であることが予想され,EXIT(ex−utero intrapartum treatment)を考慮したが両親は希望しなかった.38週2日に陣痛が発来,微弱陣痛のためオキシトシン投与による陣痛促進を行い経腟分娩した.出生児:1,582g,女児,Apgar score 4/6(1分/5分),臍帯動脈血ガスpH : 7.38,BE :−4mEq/L.
児は弱々しい啼泣を認めたが,有効な呼吸は不可能であり出生直後より人工呼吸器管理を開始された.先天性歯,先天性白内障,眼裂狭小,小眼球症,両側水腎症を認めた.また,鎖骨や肋骨,前腕骨などはきわめて細く,出生時より多発肋骨骨折,右橈骨近位端骨折を認めた.特徴的な顔貌とX線所見よりosteocraniostenosisと診断された.日齢90に肺低形成,肺高血圧による呼吸不全,心不全が進行し死亡した.
【まとめ】
超音波検査で四肢短縮を認める場合,骨系統疾患を強く疑うきっかけとなるが,本症例のようにsymmetrical FGRを呈する場合がある.原因不明のFGRを認めた場合は,このような骨系統疾患も念頭に,顔面の観察,長管骨骨折の有無などを意識して評価することでより正確な出生前診断に近づく可能性がある.