英文誌(2004-)
一般ポスター 消化器
肝臓4
(S742)
VTQを用いたC型慢性肝炎に対するインターフェロン治療後の肝線維化の評価
Evaluation for liver stiffness with chronic hepatitis type C after interferon therapy using Virtual Toutch Tissue Quantification
新垣 直樹, 玉井 秀幸, 森 良幸, 森畠 康策, 前北 隆雄, 井口 幹崇, 加藤 順, 一瀬 雅夫
Naoki SHINGAKI, Hideyuki TAMAI, Yoshiyuki MORI, Kousaku MORIBATA, Takao MAEKITA, Mikitaka IGUCHI, Jun KATO, Masao ICHINOSE
和歌山県立医科大学第二内科
Second Department of Medicine, Wakayama Medical University
キーワード :
【目的】
C型慢性肝炎症例においてインターフェロン(IFN)による抗ウイルス療法により肝線維化が改善することが知られている.一方,Push Pulseの送信により発生するせん断弾性波の速度(shear wave velocity:Vs)の測定により組織の硬度を定量化するVirtual Touch Tissue Quantification(VTQ)は非侵襲的に肝線維化を定量可能である.今回我々は,IFN治療前後の肝硬度変化の評価におけるVTQの有用性について血清線維化マーカーと比較検討した.
【方法】
2010年3月から2012年6月までIFN治療前と治療終了1年後にVTQを測定し肝硬度の変化を評価したC型慢性肝炎25例を対象とした.平均年齢60.4±13.4歳.男性9例,女性16例.F0:3例,F1:2例,F2:6例,F3:3例,F4:5例.ウイルス持続陰性化(SVR)19例,非SVR 6例.使用機種は持田シーメンス社Acuson S2000.Vs値は,右肋間走査で肝右葉の肝表から2cmの部位にROIを設定し,10回測定値の平均値を用いた.治療前後のVs値,血小板数,Ⅳ型コラーゲン7S値,ヒアルロン酸値を比較検討した.
【結果】
SVR例において,Vs値は治療前後で1.48±0.73 m/sから1.07±0.20 m/sへと有意に低下した(p<0.05).血小板数は16.7±5.3×104から17.6±4.5×104と有意な低下を認めなかったが,Ⅳ型コラーゲン7S値は4.8±1.4 ng/mlから3.8±0.9 ng/mlと有意に低下し(p<0.01),ヒアルロン酸値も66.3±41.7 ng/mlから50.2±30.5 ng/mlと有意に低下した(p<0.05).非SVR例では,Vs値は1.58±0.49 m/sから1.55±0.42 m/sと有意な低下を認めず.血小板数は14.6±8.0×104から14.6±5.2×104と変化なし.Ⅳ型コラーゲン7S値,ヒアルロン酸値はそれぞれ6.9±3.6 ng/mlから5.1±1.7 ng/ml(p=0.145),303.5±191.0 ng/mlから208.1±201.3 ng/mlと有意差はないが低下傾向にあり(p=0.117),Vs値の変化との乖離が認められた.
【結語】
VTQによる肝硬度測定は,血清線維化マーカーよりもIFN治療後の線維化評価に有用である可能性が示唆された.