Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 総合・その他
総合・その他

(S706)

もっと信用される超音波の運用を目指す“超音波マネージメント”(第3報)

The Management of medical ultrasonics for patients

島ノ江 信芳

Nobuyoshi SHIMANOE

株式会社コ・メディカル代表

CEO, CO-MEDICAL Co., Ltd

キーワード :

【はじめに】
チーム医療の質と効率の更なる向上に貢献する為に,画像診断の中での超音波の在り方や特長を伸ばす方法論を,7年間検討し,昨年の本学会から,“超音波マネージメント”として,発表してきた.今学会でも,関心を持って頂き,パネルディスカッション「さまざまな立場の超音波検査士をマネージメントする」で,討論して頂ける事となった.医療現場で,超音波が十分に信用・信頼されているかについては,非常に残念であるが,否であると言わざるを得ない.ある施設では,検査部の超音波の精度が他科のDr.から信用されず,オーダーが出ない領域がある.この施設では,超音波担当のチーム超音波のスタッフは,モチベーションが低く,仕事が楽しい状況ではない.そこで,超音波診断が,実際の医療現場でもっと信用・信頼される為には,当然の事ながら,最終確定診断と超音波診断が,一致することである.それを実現する為には,チーム超音波の力量を進化・発揮されるシステム創りが,必要である.このシステムを超音波マネージメントと称している.
【方法】
多くの病院で導入されているバランストスコアーカード(BSC)を,超音波運用の戦略として用いる.次の三つの柱①超音波の精度管理・標準化②超音波の接遇③超音波検査室の環境改善を,具体的な戦術とする.また,次の4つのステップで,実現を目指す.第1ステップ
【目標の明確化】
他のモダリティーと比べて,超音波診断が得意な分野・担当すべき領域を,施設内で確認して頂き,その担当領域や超音波の担当者に必要とされる知識と技術を,本学会の専門医カリキュラム等を参考に,具体的に文章化する.第2ステップ
【目標達成の為の,スタッフ全員の戦略・戦術の確認】
チーム医療の質と効率の向上の為に,Dr.はDr.にしか出来ない仕事に専念して頂く事や,チーム超音波のスタッフの方々の長所を発揮出来るシステムを目指す.バランスト・スコアーカードを用いて,目標を達成する事を,チーム超音波の方々全員でしっかりと確認する.その上で,学習と教育の視点から,どのような方法を取れば,目標を達成出来るかを全員で話し合って頂き,全員で達成を目指す.第3ステップ
【恒常的な教育】
まず目標のレベルに対して,現在の検査担当者方々のレベルの確認を行う.次に,目標達成の為に,必要とされる知識・技術の中で,どの項目を優先的に学ぶかのカリキュラムを創り,外部の優れた講師を招くなどして定期的な教育システムを遂行する.また,新しい担当者にも,個人任せにしないプログラムを遂行する.第4ステップ
【結果の確認と再度のスタート】
ある時期に,このシステムの結果を確認する.検査者全員が,客観的にどのレベルにあるか,改善点はどこかなどを確認し,必要であれば,第3ステップから再度行う.また,他科のDr.に対して,超音波の到達点・長所だけでなく,限界も伝え理解して頂き,どのモダリティーが対象の患者さんに最適な検査か,検査選択情報を定期的に伝えるシステムも創る.最終確定診断と超音波検査のレポートが合致し,各施設内で超音波が信用・信頼され,チーム超音波のスタッフが誇りを持って楽しくモチベーション高く仕事が出来る環境を創っていく.
【結語】
患者さんにより良い医療を受けて頂く為に,超音波検査精度の高い施設が益々増え,チーム医療の中のチーム超音波がその存在感を益々高めて欲しい等,この超音波マネージメントは多くの夢を追求している.本学会の業績が臨床現場で普及し,チーム医療の質と効率の向上に少しでも貢献出来るよう,先生方から色々な御意見を頂き,研究を続けていく.