Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 総合・その他
総合・その他

(S705)

未経験者による気胸に対する超音波診断の正診率

Diagnostic accuracy of thoracic ultrasound for pnoumothorax by inexperienced physicians

渋谷 圭, 対馬 義人

Kei SHIBUYA, Yoshito TSUSHIMA

群馬大学医学部附属病院画像診療部

Diagnostic and Interventional Radiology, Gunma University Hospital

キーワード :

【背景・目的】
超音波検査は気胸に対して高い診断能を有しており,気胸が疑われた際に最初に試みられるべき画像診断として救急・集中治療領域を中心にその有用性が期待されている.一方で気胸の超音波検査は画像診断医,救急医いずれにとってもなじみが薄く,豊富な経験を有する医師はいまだ少ないのが現状である.しかし,気胸の超音波検査の診断法は極めて単純なため,簡単なトレーニングで習得が可能であると考えられる.本研究では肺・胸膜の超音波検査の経験のない医師が短時間のトレーニング後に気胸をどの程度正確に診断できるかを読影試験で明らかにすることを目的とした.
【方法】
肺・胸膜の超音波検査の経験のない医師22名(画像診断医:12名,救急医:8名,研修医:2名)を対象とした.経験年数は2年未満:2名,3年以上〜5年未満:9名,5年以上:11名.気胸および正常の超音波画像を含む約30分の講義を受けた後に臨床情報を知らない状態で画像データベースからランダムに抽出した30症例(気胸あり:15例,正常:15例)の画像を読影し,それぞれの医師が独立して気胸の有無を判定し感度,特異度,正診率を算出した.
【結果】
全員を対象とした感度,特異度,正診率の平均値はそれぞれ90.0%(95%信頼区間:83.2−96.8%),81.5%(74.0−89.0),85.8%(81.6−90.2%)であった.研修医をのぞく3年目以上の医師の感度,特異度,正診率の平均値はそれぞれであった.2名の研修医の感度は67%と40%と95%信頼区間から大きく逸脱していた.画像診断医と救急医の間には正診率に有意な差は見られなかった.
【結論】
経験のない医師でも短時間のトレーニング後に高い感度で気胸を診断することができた.経胸壁超音波検査は簡単に習得でき,気胸のルールアウトに有用である.救急医と画像診断医の診断能は同等であったが,バックグラウンドとして通常の超音波検査の経験が必要である可能性がある.