Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 腎泌尿器
腎泌尿器2

(S691)

慢性腎臓病におけるVirtual Touch Tissue Quantificationによる腎の硬度評価

Tissue Stiffness of the kidney with Virtual Touch Tissue Quantification in chronic kidney disease

友國 淳子1, 浅野 健一郎2, 佐原 朗子1, 寺尾 陽子1, 守本 洋一3, 高畠 弘行3, 橋本 徹1, 山本 博3

Junko TOMOKUNI1, Kenichiro ASANO2, Akiko SAHARA1, Yoko TERAO1, Youichi MORIMOTO3, Hiroyuki TAKABATAKE3, Toru HASHIMOTO1, Hiroshi YAMAMOTO3

1公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院臨床検査科, 2公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院腎臓内科, 3公益財団法人大原記念倉敷中央医療機構倉敷中央病院消化器内科

1Laboratory Medicine, Kurashiki Central Hospital, 2Department of Nephrology, Kurashiki Central Hospital, 3Department of Gastroenterology and Hepatology, Kurashiki Central Hospital

キーワード :

【目的】
Acoustic RadiationForce ImpulseによるVirtual Touch Tissue Quantification(以下VTQ)における肝脾硬度測定は慢性肝炎の線維化予測,
急性肝炎における病態把握,食道静脈瘤の予測に有用とされている.しかし,その他の臓器に関する報告は少ない.今回我々は,CKD患者,正常者の腎実質
硬度を測定し,その有用性を検討した.
【対象・方法】
対象は2012年までに当院にてCKDと診断された319名(男/女:198/121)平均年齢 62歳.CKD疾患分類:糸球体腎炎(以下GN)129,糖尿病性腎症(以下DN)107,腎硬化症(以下SCL)83,正常人14名(25〜40歳でeGFR 70ml/分以上,尿蛋白,潜血陰性)使用機種はシーメンス社製ACUSON S2000を用い,腹臥位で腎下極に測定域(ROI)を設定,硬度の指標として左右の腎でVs値を約10回測定し,その平均と標準偏差を求めた.また,同時に腎長径と小葉間動脈のVmax,Vmin,RI,baPWVを測定した.Cr,年齢よりeGFRを求め,臨床経過,生検組織(183名)より原疾患を分類した.
【結果】
腎実質のVs値はCKD患者,正常者ともに両腎で有意差を認めなかった.またVTQ値とeGFRはGN,DN,SCLのすべての疾患分類において弱い正の相関を認め,baPWVと負の相関認めた.
【考察】
CKD患者においてVs値はeGFRと正の相関を示したが,GNとeGFRが低いDNでは相関は弱かった.このVs値の低下は,CKDと動脈硬化による腎実質への血流減少が実質の緊張を低下させたためと考えられた.
【結語】
CKD患者におけるVs値は線維化よりも動脈硬化による血流の低下が強く反映されていることが推測された.原疾患や病態による個体差も大きく,臨床応用には今後さらに充分な検討が必要である.