Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 腎泌尿器
腎泌尿器1

(S687)

前立腺における低エコー領域の検討

Hypoechoic lesions of the prostate

鈴木 地佳子1, 三木 未佳1, 工藤 由美子1, 真部 美穂1, 三木 俊1, 海法 康裕2, 荒井 陽一2

Chikako SUZUKI1, Mika MIKI1, Yumiko KUDO1, Miho MANABE1, Takashi MIKI1, Yasuhiro KAIHO2, Yoichi ARAI2

1東北大学病院生理検査センター, 2東北大学病院泌尿器科

1Clinical Physiology Center, Tohoku University Hospital, 2Department of Urology, Tohoku University Hospital

キーワード :

【はじめに】
近年,超音波装置の画質向上のため,経腹的超音波検査(以下:US)でも,前立腺内に限局性の低エコー領域を観察することがある.前立腺癌取扱い規約第4版においても,低エコー領域などの異常エコーがあれば癌を疑うとされている.今回我々の施設でみられた低エコー領域と前立腺癌との関係を検討したので報告する.
【対象】
H24年10月1日〜H25年10月31日の期間,当院泌尿器科外来で検査を施行した男性.以前に前立腺癌の診断で治療を受けた人を除く806人中,USにて前立腺に低エコー領域を検出した54名について検討を行った.年齢26歳〜83歳(平均年齢66.6歳)
【方法】
使用装置:Aplio300(東芝メディカルシステムズ社製)
USにて,前立腺に低エコー領域を認めた症例の前立腺癌の割合と低エコー領域とMRI検査,生検の一致率についてそれぞれ検討した.
【結果】
①USにおける低エコー領域を指摘した患者の前立腺癌の割合:54例中28例.(52%)
②USにおける低エコー領域とMRIの結果の比較:USとMRI検査を実施した15例中9例で,低エコー領域とMRIでの腫瘤が一致した.(一致率60%)
③USにおける低エコー領域と前立腺生検における比較:24例中18例で,右葉,左葉の部位が一致した.(一致率75%)
【考察】
前立腺癌がすべて結節を形成するわけではないので,USやMRIの検査で結節がないからといって前立腺癌ではないとはいえない.PSAによるスクリーニングは重要であり,生検で最終診断を行うが,今回の結果から,前立腺内の低いエコー領域が癌であった割合は半数を超え,サイズの計測のみならず,内部エコーの性状を注意深く観察し,低エコー領域を指摘することは重要と思われる.