Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 頭頸部
頭頸部1

(S672)

下咽頭癌,喉頭癌の超音波診断

Ultrasound evaluation of hypopharyngeal and laryngeal carcinoma

古川 まどか1, 古川 政樹2, 久保田 彰1, 木谷 洋輔1, 佐藤 要1

Madoka FURUKAWA1, Masaki FURUKAWA2, Akira KUBOTA1, Yousuke KITANI1, Kaname SATOU1

1神奈川県立がんセンター頭頸部外科, 2横浜市立大学附属市民総合医療センター医療情報部

1Department of Head and Neck Surgery, Kanagawa Cancer Center, 2Department of Medical Informatics, Yokohama City University Medical Center

キーワード :

【目的】
下咽頭癌・喉頭癌原発巣の病期分類には,声帯の可動性や頸部食道への進展,甲状軟骨,輪状軟骨や舌骨への浸潤の有無を判断することが必要とされる.通常,CTを用いて判断することになるが,必ずしもすぐに検査を行えるとは限らない.そこで,手軽にできる検査法である超音波診断を用いて,簡易的な下咽頭癌・喉頭癌の診断を試み,CT画像で得られる所見のうちどこまでが超音波で診断が可能かを検討した.
【対象と方法】
2010年1月から2013年12月までに,当科で治療を施行した下咽頭癌症例62例(梨状陥凹52例,咽頭後壁8例,輪状後部2例)および喉頭癌症例60例(声門49例,声門上10例,声門下1例)を対象とした.治療開始前に体表からの超音波診断を先行して施行し,喉頭腫瘍像の有無,腫瘍像が存在した場合,その局在,甲状軟骨,輪状軟骨への浸潤の有無,隣接部位への進展の有無につき診断し,同時期に施行したCT所見と比較した.
【結果】
CTを使用したT分類の内訳は,下咽頭癌ではT1:9例,T2:22例,T3:18例,T4:13例,喉頭癌ではT1:19例,T2:19例,T3:15例,T4 7例であった.下咽頭癌ではT1症例9例中3例,T2症例22例中10例,T3症例18例中17例,T4症例13例中13例が体表からの超音波診断により腫瘍像が検出可能で,喉頭癌では超音波診断で腫瘍像が検出されたのはT1症例19例中1例,T2症例19例中6例,T3症例15例中11例,T4症例7例中7例であった.喉頭癌よりも下咽頭癌が検出しやすい傾向が認められた.また,下咽頭癌,喉頭癌ともに,これらの腫瘍の局在診断はCTの所見とほぼ一致しており,超音波診断で甲状軟骨,輪状軟骨への浸潤所見および隣接部位への進展が確認された例では,CTでも全例ほぼ同様の所見が確認された.
【結論】
T1以上の下咽頭癌症例および喉頭癌でT2以上の症例では,原発部位の腫瘍像を超音波で検出可能なものがあり,特に,甲状軟骨,輪状軟骨への浸潤所見および頸部食道をはじめとする隣接臓器への進展の診断に有用と思われた.