Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 頭頸部
頭頸部1

(S671)

頭頸部扁平上皮癌転移リンパ節における放射線治療施行後のエコー所見の変化の検討

Evaluation of effects of lymph node metastasis of the head and neck squamous cell carcinoma treated with definitive radiotherapy

木谷 洋輔, 古川 まどか, 佐藤 要, 久保田 彰

Yousuke KITANI, Madoka FURUKAWA, Kaname SATO, Akira KUBOTA

神奈川県立がんセンター頭頸部外科

Head and Neck Surgery, Kanagawa Cancer Center

キーワード :

【目的】
頭頸部扁平上皮癌では頸部リンパ節転移が予後に影響することが知られている.近年,頸部リンパ節転移のある症例でも根治治療として放射線治療が行われることが増えてきたが,照射後の転移リンパ節の評価は難しく,標準的な画像評価法はいまだ確立していない.頸部エコー検査は他の画像検査と比べリンパ節個々の変化をより鋭敏にとらえることがでるためこのような照射後の評価に有用である可能性がある.本検討では放射線治療後の転移リンパ節の治療効果評価法を確立する目的で,治療により転移リンパ節にどのような変化が生じているのかをRetrospectiveに検討した.
【対象および方法】
2011年1月から2013年1月までに当科で根治治療として放射線治療を行った頸部リンパ節転移陽性例のうち,治療後少なくとも6か月以上経過観察されている20症例における転移リンパ節20個を対象とした.リンパ節転移が複数ある症例では比較可能なもので最大径の最も大きいリンパ節を対象とした.また,頸部エコー検査は少なくとも初診時と治療後約1か月後の2回施行しその変化を観察した.
【結果】
治療効果をgrade1:消失または痕跡となったもの,grade2:正常リンパ節構造に戻ったもの,grade3:横断像における面積の縮小率が50%以上のもの,grade4:縮小率50%未満のもの,grade5:増大したものの5段階で評価すると,20例中,grade1が1例,grade2が6例,grade3が7例,grade4が5例,grade5が1例であった.その後grade1,2の全例,grade3の4例,grade4の3例ではリンパ節の再増大・再発は認めなかった.
また,リンパ節が残存したgrade3,4,5の13例で放射線治療後のエコー所見を,A:液体成分の有無,B:充実成分のエコーレベル,C:充実成分の均一性,D:内部血流の有無の4項目について検討すると,液体成分がなく,内部の充実成分が等−高エコーで不均一および内部血流を認めない例では再燃・再発が少ないことが分かった.
【結論】
転移リンパ節が消失・痕跡となったもの,正常リンパ節構造に戻った症例および照射後に残存リンパ節を認めても上記のようなエコー所見である例では,頸部エコーによる経過観察を行うことで不必要な手術が回避できる可能性があることが示唆された.