髙木 優¹, 辻 望¹, 今吉 由美¹, 橋本 智子¹, 高田 彩永¹, 乙部 克彦¹, 川地 俊明¹, 亀井 桂太郎², 熊田 卓³, 安田 鋭介⁴

Yu TAKAGI¹, Nozomi TSUJI¹, Yumi IMAYOSHI¹, Satoko HASHIMOTO¹, Ayae TAKADA¹, Katsuhiko OTOBE¹, Toshiaki KAWACHI¹, Keitarou KAMEI², Takashi KUMADA³, Eisuke YASUDA⁴

¹大垣市民病院形態診断室, ²大垣市民病院外科, ³大垣市民病院消化器内科, ⁴鈴鹿医療科学大学放射線技術科学科

¹Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, ²Surgery, Ogaki Municipal Hospital, ³Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital, ⁴Department of Radiological Sciences, Suzuka University of Medical Science

キーワード :

【目的】
近年，「硬さ」を評価できるエラストグラフィが多くの超音波診断装置に搭載され，その方法も多種にわたりかつ急速に普及している．なかでもShearWave Elastography（以下SWE）は用手的にプローブで圧迫する従来法とは違い，異なる深度にフォーカスされた超音波ビームを体内に送信し，組織を上下に振動させその時に発生するshear wave（せん断弾性波）の伝播速度から組織弾性を算出する方法で，簡便で再現性が高く定量化が可能という特徴を有している．
乳腺領域においてもSWEが認知されつつあり，定量値だけでなくカラーマップを用いた視覚的評価が可能であることが報告されている．亀田総合病院の戸崎らが，表示されるカラーマップを4つに分類し，均一に青く表示される（パターン1）と複数の縦走するアーチファクト（パターン2）を良性病変，腫瘍の境界部に色が表示される（パターン3）と腫瘍内部に不均一に色が表示される（パターン4）を悪性病変としたパターン分類の有用性を報告している．
今回われわれは，SWEを用いたパターン分類に個人差がでないか評価したので報告する．

【対象・方法】
対象症例は2013年6月〜2013年12月にSWEを施行した乳腺腫瘤91例である．読影対象者は診療放射線技師9名，臨床検査技師6名で，乳腺超音波の未経験者を含め，12年までの経験年数である．始めにパターン分類についての説明のスライドを示した上で，各々が対象症例各1枚のパターン分類を行い，パターン一致率を評価した．

【結果】
良性（パターン1および2）で一致した症例は39例，悪性（パターン3および4）では40例となり，全体の87％であった．評価が分かれたものは12例（13％）であった．一致率の低い画像にはアーチファクトが多数入っているものや腫瘤径が大きいため評価しにくいものがあった．また，乳腺超音波の経験が少ないほど評価に差が生じた．

【まとめ】
今回の検討では，良悪性のパターン分類としては8割以上の症例でほぼ一致した評価であった．超音波の経験やSWE画像の教育により，統一した見解が望めると思われる．多断面の評価やアーチファクトを減らす工夫により，一致率向上が期待できると考えられた．