英文誌(2004-)
一般口演 乳腺
症例2(・DCIS等)
(S646)
Her2陽性乳癌の超音波画像の特徴
Assessing the role of Ultrasoud in predicting the biological behavior of HER2 positive breast cancer
森田 孝子
Takako MORITA
名古屋医療センター乳腺科
Senology, Nagoya Medical Center
キーワード :
【目的】
乳癌をサブタイプで分けて治療が行われるようになり,トリプルネガティブ(TN)乳癌についての超音波画像の特徴は報告されているが,予後不良のサブタイプであるHer2陽性乳癌については,まだ余り検討されていない.検診発見,自覚例のHer2陽性乳癌の超音波画像を比較することにより,Her2陽性乳癌の超音波画像の特徴や伸展形式を考察する.
【対象と方法】
2007年〜2012年までの当院で診断,治療されたHER2陽性乳癌86例(検診発見25例,自覚例61例)の超音波画像所見をマンモグラフィ(MG)と対比させ,病理結果をretrospectiveに検討した.
【結果】
画像所見が得られなかった自覚例6例を除き,すべての症例でUS所見が認められた.US所見の内訳はグラフのごとくである.検診発見でのカテゴリー分類はC3 4例(16%),C4 8例(32%),C5 13例(52%),自覚でのカテゴリー分類はC3 3例(5.5%),C4 12例(21.8%),C5 40例(72.3%)であった.マンモグラフィでの石灰化有所見例は検診例で16例に対して11例,自覚例では,33例に対して17例にUS上石灰化所見が認められた.マンモグラフィでは,カテゴリー1あるいは,乳腺構造を破壊しない濃度上昇といった検出の難しい症例に対して,USでは,腫瘤像があり,モダリテイ間での乖離が認められる症例があった.腫瘤像は境界明瞭粗造で内部エコーが低エコーであるが,TNタイプのように極低エコーで均質ではないことが多かった.
【考察】
HER2陽性乳癌のMG所見として,石灰化がない区域性の濃度上昇が認められ,prospectiveには難しい症例が,USでは,腫瘤像がはっきりみえたりする乖離がおこる.これは,HER2陽性乳癌が周囲に間質反応を及ぼす前に管内伸展,管内伸展した後,一気に浸潤癌となることが示唆される.また,主病巣から管内伸展が目立つ症例は,腫瘤+低エコー域が認められたことから,管内伸展部位の同定,評価が必要である.乳管内病変がはっきりせず,乳管拡張としてのみ指摘できる例もあり,MGで壊死型の石灰化のみで乳管内増殖性病変の癌細胞の積み上がりがないとUSでは病変の検出が難しく,病変外の正常乳腺構造と比較しながらのUS検査をするという見方をしないと所見が得られないこともある.