Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 産婦人科
妊娠初期

(S636)

妊娠初期の絨毛体積・子宮動脈血流による妊娠高血圧症候群の発症予知

Prediction for pregnancy induced hypertension using measurements of 3D ultrasound placental volume and uterine artery Doppler in the first trimester

新垣 達也, 長谷川 潤一, 仲村 将光, 瀧田 寛子, 濱田 尚子, 松岡 隆, 市塚 清健, 関沢 明彦

Tatsuya ARAKAKI, Junichi HASEGAWA, Masamitsu NAKAMURA, Hiroko TAKITA, Shoko HAMADA, Ryu MATSUOKA, Kiyotake ICHIZUKA, Akihiko SEKIZAWA

昭和大学産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Showa University School of Medicine

キーワード :

【目的】
妊娠高血圧症候群(PIH)は,妊娠初期の絨毛発育の異常に起因することが知られている.妊娠初期の超音波検査による絨毛体積や子宮動脈血流の評価がPIHの発症予知につながると考え,検討を行った.
【方法】
2011-2013年に当院で健診を受け,分娩した妊婦を対象とした.妊娠11-13週に3D超音波(Voluson E8; GE Health care, Japan)により絨毛体積,子宮動脈血流を評価した.絨毛体積は,絨毛膜有毛部がすべて取り込まれるように関心領域および角度を調節しボリュームデータを取り込み,VOCAL(Virtual Organ Computed-acid Analysis)法で測定した.その後,妊娠経過中にPIHを発症したものを,EO-PIH; early onset PIHもしくはLO-PIH; late onsetPIHの2群に分け,正常例と超音波計測値を比較した.さらに,EO-PIHについてはROC曲線を作成し,予測精度の検討を行った.なお,本研究は当院の倫理委員会の承認の下,同意を得て行った.
【結果】
対象は1366例,うちPIHはEO-PIH 10例(0.7%),LO-PIH 56例(4.1%)であった.正常例,EO-PIH,LO-PIHにおける初期の絨毛体積の中央値(範囲)は,それぞれ,62(14-162),49(28-57)*,60(18-165)cm3,子宮動脈PIは1.8(0.6-4.1),2.4(1.5-3.1)*,1.9(0.5-3.5),子宮動脈RIは0.77(0.40-0.99),0.84(0.72-0.94)*,0.79(0.42-0.94)であった(*: p<0.05 vs.正常例).EO-PIHの診断精度について,ROC曲線のAUCは,子宮動脈PI 0.718(95%CI; confidence interval 0.527,0.909),絨毛体積0.773(95%CI 0.679,0.867),子宮動脈PI +絨毛体積(ロジステック回帰モデル)0.844(95%CI 0.755,0.934)であった.
【考察】
早発型妊娠高血圧症候群では妊娠初期の子宮動脈PIおよびRIが高く,らせん動脈のre-modelingが不良であり,かつ,絨毛の発育も障害されていることを示す超音波所見を確認した.遅発型では正常例と差はなく,早発型とは異なる病態である可能性を確認した.早発型PIHは予測可能であると考えられたが,その精度には限界があり,さらなるパラメーターの追加検討が必要であると考えられた.