Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
胆道2

(S604)

黄色肉芽腫性胆嚢炎における造影超音波検査の検討

Enhansed ultrasonography in patients with xanthogranulomatous cholecystitis

伊原 諒1, 植木 敏晴1, 簑田 竜平1, 大塚 雄一郎1, 野間 栄次郎1, 光安 智子1, 松井 敏幸1, 今村 健太郎2, 岩下 明德2

Ryo IHARA1, Toshiharu UEKI1, Ryohei MINODA1, Yuitirou OTSUKA1, Eijirou NOMA1, Tomoko MITSUYASU1, Toshiyuki MATSUI1, Kentaro IMAMURA2, Akinori IWASHITA2

1福岡大学筑紫病院消化器内科, 2福岡大学筑紫病院病理部

1Department of Gastroenterology, Fukuoka University Chikushi Hospital, 2Department of Pathology, Fukuoka University Chikushi Hospital

キーワード :

【はじめに】
黄色肉芽腫性胆嚢炎(以下XGC)は,組織学的に胆嚢壁内の多数の泡沫細胞の出現と組織球,多核巨細胞,リンパ球,形質細胞などの浸潤や肉芽組織の形成,線維組織の増生などを特徴とする肉芽腫性胆嚢炎である.一般にUSやMD-CTによってXGCと胆嚢癌との鑑別が行われているが,XGCの82例中54例(65.9%)が術前に胆嚢癌と診断されている1).一方XGCは3〜12.5%程度胆嚢癌を合併すると報告されている2).造影超音波検査は非侵襲的に腫瘍の血行動態をリアルタイムに描出でき,特に肝腫瘍においてその有用性が報告されている.そこで当院で経験したXGCのペルフルブタンを用いた造影超音波検査所見について検討した.なお,造影超音波検査はAplio XV,Aplio 500(東芝)を用い,ペルフルブタンを0.015ml/kgを急速静注し,約40秒間観察した.
【症例1】
70代男性,胃癌術後の癒着性イレウス加療後,当科外来で経過観察中であった.右季肋部痛が出現したため施行したUS,MD-CTで,胆嚢壁の著明な全周性肥厚,肝S4,S5,横行結腸への浸潤を疑う所見から,胆嚢癌の可能性が考えられ,精査加療目的で入院となった.造影超音波検査では,胆嚢壁は最外層から徐々に染影され,最内層は不整な早期濃染はなかった.肥厚した壁内はほとんど染影されず樹枝状血管はなかった.肝臓との境界は明瞭で表面は平滑であった.以上よりXGCを疑い経皮的胆嚢腫瘍生検を施行した.病理診断はXGCであった.患者の希望で胆嚢摘出術はせずに,9か月後も著変なく経過している.
【症例2】
67歳女性,胆嚢壁肥厚の精査加療目的で入院.胆嚢結石合併胆嚢腺筋腫症と診断し経過観察していた.その後,肝胆道系酵素上昇と,USで胆嚢頚部の結石と胆嚢壁の著明な肥厚があり再入院となった.造影超音波検査では,胆嚢壁全体が徐々に染影され,ほぼ均一であった.樹枝状血管はなく,最内層に不整な早期濃染はなかった.MD-CTで胆嚢腫瘤は漸増性濃染され,右肝動脈の狭小化を認めた.ERCで胆嚢頚部の結石と上部胆管に圧排性狭窄を呈していた.MD-CT,PET-CTで胆嚢癌が疑われたが,造影超音波検査,ERC所見より,胆嚢腺筋腫症とMirizzi症候群を合併したXGCと診断した.しかし癌を否定できず,肝中央区域切除,胆嚢摘出術,肝外胆管切除術を施行した.術後の固定標本で胆嚢頚部の結石は総胆管に穿通していた.最終病理診断は胆嚢腺筋腫症とMirizzi症候群を合併したXGCであった.
【まとめ】
造影超音波検査はXGCの診断に有用であった.
【参考文献】
1)松村 勝鳥越貴行,金光秀一,ほか.胆嚢癌と鑑別困難であった黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例一本邦報告81例の検討.胆道2010;24:219−226
2)Guzman−Valdivia G.Xanthogranulomatous chole−cystitis 15 years’ experience.World J Surg 2004 28:254−257