英文誌(2004-)
一般口演 消化器
プローブ・EUS
(S589)
当院におけるInterventional EUSの現状と問題点
Current Status and problems of Interventional EUS in our institution
野々垣 浩二, 榊原 聡介, 下郷 友弥, 印牧 直人
Koji NONOGAKI, Sosuke SAKAKIBARA, Tomoya SHIMOZATO, Naoto KANEMAKI
大同病院消化器内科
Gastroenterology, Daido Hospital
キーワード :
【はじめに】
Interventinal EUSには,膵胞ドレナージ,胆道ドレナージ,局注療法などがあるが,内視鏡デバイスの開発とともに,近年急速に普及し臨床に応用されている.しかし,手技成功率および偶発症発生率も報告により異なり,いまだ標準化した治療手技とはいえない.今回,当院で施行したInterventional EUSについてその現状と問題点について検討した.
【対象】
2011年4月より2013年11月までに当院で施行したInterventional EUS 5例.EUS下膵管ドレナージ(EUS-PD)1例,EUS下胆管ドレナージ(EUS-BD)3例:経十二指腸アプローチ(EUS-CDS)2例,経胃アプローチ(EUS-HGS)1例,膵胞ドレナージ1例.
【方法】
使用機器は,EUSはGF-UCT260(オリンパス社製),観測装置EU-ME1(オリンパス社製),穿刺針はEUS-FNA針(Echotip Ultra 19G:Cook社製,Expect Flexible 19G:Boston Scientific社製),2013年4月以降は,通電ダイレーター(センチュリーメディカル社製)を使用した.胆管ドレナージに使用したステントは,自己拡張型金属ステント(SEMS)で,膵胞ドレナージでは胆道用両端ピッグテールステントを内瘻,外瘻に内視鏡的経鼻胆管ドレナージチューブを使用した.
【結果】
手技成功率は5例中3例(60%)であった.EUS-CDS1例と,EUS-PD1例で手技を完遂できず,それぞれ穿孔と腹膜播種の合併症を認めた.この2例は,導入初期で通電針を使用せず,穿刺経路の拡張困難が手技不成功の原因であった.以後3例においては,穿刺経路拡張の段階において,ガイドワイヤー下で通電ダイレーターを使用することで合併症なく手技を完遂することが可能であった.EUS-HGSを施行した1例は,スキルス胃癌による幽門狭窄症例であり,幽門狭窄に対して十二指腸ステントを,リンパ節転移による閉塞性黄疸に対してHGSを施行したのち,化学療法施行が可能となりEUS-HGS施行2ヶ月後の現在もステント閉塞なく生存中である.
【結語】
当院におけるInterventional EUSは,通電ダイレーター導入が手技成功に大きく寄与した.2例で重篤な偶発症を認めており,標準化した手技として普及するには更なるデバイスの改良が必要である.