Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
3D2

(S575)

鏡視下肝切除術におけるNavigation Surgeryの新展開

Novel development of navigation system in laparoscopic liver surgery

青木 武士, 村上 雅彦, 藤森 聡, 古泉 友丈, 三田村 圭太郎, 草野 智一, 松田 和広, 渡辺 誠, 大塚 耕司, 加藤 貴史

Takeshi AOKI, Masahiko MURAKAMI, Akira FUJIMOTI, Tomotake KOIZUMI, Keitaro MITAMURA, Tomokazu KUSANO, Kazuhiro MATSUDA, Makoto WATANABE, Koji OTSUKA, Takashi KATO

昭和大学消化器・一般外科

Department of Gastroenterological and General Surgery, Showa University

キーワード :

背景】
従来より開腹肝切除術において,肝局所解剖やLandmarkの確認・至適な解剖学的切除ラインの決定に際し術中超音波(IOUS)が極めて有用な術中Navigation Systemとして確立されてきた.一方1990年代より肝部分切除術からはじまった鏡視下肝切除術は葉切除・区域切除へと適応拡大が進み,今後肝切除術は開腹手術から鏡視下手術へと大きく移行することが予想される.体壁破壊を最小限とし手術侵襲が軽減される鏡視下手術は,拡大視効果等の利点を有する一方,手術視野が限定され且つIOUSから得られる情報は開腹手術におけるそれと比し十分とはいえない.教室では鏡視下肝切除術における自由度の制限を補完し安全な手術を施行することを目的に,超音波Volume Navigation機能を応用した術中Navigation Systemを構築した.
【方法】
GPS機能搭載ハイエンド超音波装置(LOGIQ E9: GE Health Care)を使用.リファレンスセンサー(OmniTRAX: CIVCO)を患者前胸部に貼布し術前3 phase thin slice CTを撮像,画像ワークステーション(Ziostation 2:ザイオソフト)にて画像解析後CT volume dataとして超音波装置に登録した.手術中,超音波装置の磁場環境の下患者前胸部にリファレンスセンサーを再度貼布,鏡視下手術器具にポジションセンサー(VirtuTRAX: GE Health Care)を装着し,画像専用モニター上に供覧したCT volume data上に手術器具先端位置情報をリアルタイムに表示した.
【結果】
患者体幹背側に設置された磁場発生装置は,標的臓器である肝臓およびLandmarkを追跡するための十分な捕捉領域を提供するとともに,手術台のローテーションによる位置情報の変化を防止した.またリファレンスセンサーを用いることで自動的にCT volume dataの位置合わせが行われ,施行者の技量に左右されない正確な位置情報を得ることが可能となった.ポジションセンサーが装着された手術器具の先端位置情報は,CT volume data上のNeedle in plane像に表示され,Landmarkとの位置関係・肝臓仮想裏断面に出現する局所解剖の理解に有用であった.さらに超音波で同定困難な病変は,US volume dataと同期され病変が描出されたCT/MRI volume dataを参照することで同定・切除可能となった.
【結語】
リファレンスセンサー・ポジションセンサーを併用し超音波装置のVolume navigation機能を応用した術中Navigation systemは,鏡視下肝切除術の手術支援に有用と考えられた.