英文誌(2004-)
一般口演 消化器
造影超音波検査1
(S568)
術中造影超音波を用いた肝組織評価の新手法
A novel non-invasive methods using intraoperative enhancedsonography predicting liver cirrhosis
石井 秀明, 伊藤 浩光, 工藤 篤, 松村 聡, 伴 大輔, 入江 工, 落合 高徳, 中村 典明, 田中 真二, 田邉 稔
Hideaki ISHII, Hiromitsu ITO, Atsushi KUDO, Satoshi MATSUMURA, Daisuke BAN, Takumi IRIE, Takanori OCHIAI, Noriaki NAKAMURA, Shinji TANAKA, Minoru TANABE
東京医科歯科大学肝胆膵・総合外科
Hepatobiliary-Pancreatic Surgery, Tokyo Medical and Dental University
キーワード :
【背景と目的】
近年non-invasive markerによる肝病理組織診断が試みられてきたが,肝臓超音波検査による肝機能評価法の報告はない.本研究の目的は周波数情報や血圧の負荷による血管の微小な動きなどのパラメーターを画像化するパラメトリックイメージングを用いて,組織性状診断および肝機能評価を非侵襲的に行うことが可能か否かを明らかにすることである.
【方法】
当院における2011年1月から2013年6月までの肝細胞癌または転移性肝癌に対する肝切除,検査用造影剤ペルフルブタンを用いた術中造影超音波検査症例で撮影された超音波画像(n=53)をパラメトリックイメージング法で検討した.イメージングの構成は投与量に依存性が少ないArraival time histogram法を用いた.単位時間の面積増加率ds/dtを抹消組織における血流速度K*exp(-t/T)(Tは時定数)と平均面積速度1/Tの積と仮定した.初期値(t-=0,S=0)を代入した微分方程式の解はS=1-exp(-t/T)となり,時定数Tにより肝臓のKupffer細胞飽和率,およびそれに伴う背景肝組織を含む臨床病理学的因子を統計学的に検討した.
【結果】
症例の内訳はNL(正常肝):7例,CH(慢性肝炎):19例,LC(肝硬変):27例であった.時定数Tのmean±SDはT(NL)=1.392±0.3505,T(CH)=1.025±0.2387,T(LC)=0.8504±0.233となり一元一次分散分析と多重比較(最少有意差法)を行ったところT(NL)とT(LC)で有意差(P=0.001)を認めた.この2群によるROC解析ではROC曲線下面積(AUC)=0.926,Tのカットオフ値を1.088に設定すると感度:85.7%,特異度:77.8%となった
【結語】
パラメトリックイメージを用いた本研究の解析方法はKupffer細胞の活性化を評価することで非侵襲的に肝組織を評価しうる可能性が示唆された.