松居 剛志, 真口 宏介

Takeshi MATSUI, Hiroyuki MAGUCHI

手稲渓仁会病院消化器病センター

Center for Gastroenterology, Teine-Keijinkai Hospital

キーワード :

【目的】
造影超音波検査（CEUS）やNavigation system（Nav）は，これまでBモードのみでは同定困難な肝癌に対してもRFAを可能とした．しかしながら，これらの使い分けや選択順位に関しては明らかな基準がない．当センターではNav導入後，Bモードのみで同定が困難な病変に対してはNav下RFAを積極的に行い，Navを用いても困難な病変にはNav+CEUS下RFAを施行してきた．今回，その成績についてretrospectiveに検討した．
【対象】
Sonazoid発売の2007年1月以降からNav導入2009年12月までにCEUS下RFAを行った59結節（CEUS群）とNav導入後にNav下RFAを行った47結節（Nav群），更にNav+CEUS下RFAを行った6結節（Nav+CEUS群）を対象とした．局所再発の有無を見るため1年以上経過観察可能であった症例に限定し検討した．
【方法】
各群における①臨床背景，②治療セッション数，③再発率を検討した．
【成績】
①CEUS群：Nav群：Nav＋CEUS群の平均年齢は69 : 71 : 70歳，肝予備能はChild-Pugh A/Bで34/25 : 21/25：4/2，肝癌の平均腫瘍径は10.9 : 10.3 : 11.3 mm，RFAの既治療歴は45/59 : 33/46 : 5/6といずれも有意な差は認めなかった．病変の占拠部位は，S1 / S2,3 / S4 / S5,8 / S6,7がそれぞれ1/13/7/26/12 : 1/3/8/21/13 : 0/0/0/3/3と，CEUS群に比し，Nav群では左葉外側区の病変が有意に少なかった（p=0.028）．②複数回の治療セッションを要した病変数は各群で2/59 : 6/46：1/6と有意な差はないが，CEUS群ではNav群よりやや少ない傾向がみられた（p=0.0643）．③局所再発に関しても7/59 : 12/46：0/6と有意ではないものの，Nav群で高い傾向にあった（p=0.060）．
【考察】
CEUS下RFAはNav下RFAに比し治療セッション数がやや少なく，局所再発率が低い傾向にあった．これは，Navを用いて病変を同定し得たと判断された場合でも，病変の境界・範囲が正確にとらえきれていない可能性があると考えられた．一方，Navを使用しても同定不能であった病変に対してはCEUSを追加することにより，病変の境界・範囲が明瞭に認識可能となり，より確実なRFAの施行が可能であった．以上より，Navを用いて病変が同定し得たと判断した場合でも，病変の境界・範囲が明瞭でない場合には，積極的にCEUSを併用してより確実なRFAを施行すべきと思われた．