Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
肝臓3

(S563)

粒子分析を用いた肝腫瘍の特徴量の定量化の試み

A pilot study of feature quantification of liver tumor using particle analysis

松本 直樹, 小川 眞広, 高安 賢太郎, 平山 みどり, 三浦 隆生, 塩澤 克彦, 阿部 真久, 中河原 浩史, 森山 光彦

Naoki MATSUMOTO, Masahiro OGAWA, Kentaro TAKAYASU, Midori HIRAYAMA, Takao MIURA, Katsuhiko SHIOZAWA, Masahisa ABE, Hiroshi NAKAGAWARA, Mitsuhiko MORIYAMA

日本大学医学部消化器肝臓内科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【目的】
肝腫瘍の画像診断は,通常読影医によって病変の特徴を認識され,経験を踏まえた上で判断が下される.乳腺腫瘍やリンパ節での縦横比,CT値の測定や造影検査でのTime intensity curveなど,一部では腫瘍の性状について定量的評価が行われているが,例えば「類円形」,「不整形」といった特徴量の定量化はあまり用いられていない.粒子分析は多数の粒子の形状を同時に分析する画像解析手法で,バイオイメージング,工業業務における品質管理,天文学など幅広い領域で使用されている.これまで粒子分析を超音波医学領域に応用した報告は殆ど無い.今回,画像解析ソフトの粒子分析を用い,肝腫瘍の特徴量を測定し,各腫瘍について比較したので報告する.
【方法】
対象は肝細胞癌25例27結節,肝血管腫17例17結節.使用装置はLOGIQ 7,E9,S8(GE Healthcare).探触子は9L,10Lなど.使用ソフトはImageJ.撮影条件は同一とし,Bモードで肝腫瘍の最大断面を撮影した画像を使用した.腫瘍の輪郭はフリーハンドでトレースして関心領域(ROI)を設定し,その形状と内部エコーについて粒子解析した.検討項目は中間グレー値,平均グレー値,最頻グレー値,最大グレー値,最小グレー値,グレー値の標準偏差,円形度,長軸/短軸比,面積/凸面積比,フェレ角などである.肝細胞癌は腫瘍径27.5mm(10.0〜55.0mm),分化度は高分化型/中分化型/低分化型:4/21/2.血管腫は腫瘍径21.0mm(10.0〜85.0mm),エコーレベル別の分類では高エコー型/低エコー型/混合型:13/1/3.
【成績】
ROI内の色調については中央値(肝細胞癌/血管腫=65.0/90.0; P=0.005),平均値(66.8/91.5; P=0.005),最頻値(60.0/92.0; P=0.006),最小値(17.0/36.0; P=0.015)で有意に血管腫が高い結果だったが,最大値(144.0/155.0; P=0.132),標準偏差(18.6/17.9; P=0.721)では有意差を認めなかった.ROIの形状については面積/凸面積比(0.974/0.959; P=0.011),円形度(0.892/0.857; P=0.039)が肝細胞癌で高かったが,長軸/短軸比(1.245/1.257; P=0.664),フェレ角(111.9/86.2; P=0.179)については有意差を認めなかった.
【結論】
粒子解析の結果,肝血管腫は,肝細胞癌と比較して内部のエコーレベルが高く,形状は凸面積の割合が高く,円形度が低く,不整形を示していることが示唆された.但し,エコーレベルについては今回,高エコー型の血管腫が多かったため,他の種類の血管腫も加えた検討が必要と考えられた.