Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 消化器
消化管1

(S546)

壁肥厚を呈したcollagenous colitisの一例

Collagenous colitis with colonic wall thickness, report of a case

神野 大輔, 讃岐 英子, 畑 幸作, 石垣 尚志, 児玉 美千代, 谷本 達郎, 吉良 臣介, 小林 博文, 隅井 浩治, 角田 幸信

Daisuke KAMINO, Eiko SANUKI, Kousaku HATA, Takashi ISHIGAKI, Michiyo KODAMA, Tatsurou TANIMOTO, Shinsuke KIRA, Hirofumi KOBAYASHI, Kouji SUMII, Yukinobu SUMIDA

済生会広島病院内科

internal medicine, Saiseikai Hiroshima Hospital

キーワード :

collagenous colitisは慢性下痢を主訴とし,組織学的に大腸上皮下にcollagen bandを認めるものの内視鏡所見はほぼ正常である疾患として1976年に初めて報告された.その後軽微ながらも多くの症例では内視鏡異常所見を有することが知られてきたが,その他の画像に関する報告は少ない.今回我々は腹部超音波検査で大腸の壁肥厚を指摘したcollagenous colitisの一例を経験したので報告する.
症例は70歳代,男性.中枢神経ループス,高血圧,糖尿病などで神経内科通院中.プロトンポンブ阻害薬(ランソプラゾール)を内服していた.20XX年6月中旬より下腹部不快感が出現,翌日に当院受診した.下痢や血便はなかった.腹部単純CTでS状結腸の壁肥厚を指摘された.翌日に腹部超音波検査を施行.S状結腸に比較的長い範囲で軽度の壁肥厚を認めた.層構造は消失していた.高周波プローブでの観察ではS状結腸の内腔には不整を認めなかった.ドプラによる壁内の血流は指摘出来なかった.腫瘍にしてはやや範囲が長く,炎症性疾患にしては内腔がきれいであることから確定診断に至らなかった.2日後に大腸内視鏡を行い,S状結腸に境界明瞭な縦走潰瘍を認めた.潰瘍の周囲は軽度の浮腫性肥厚を認めた.collagenous colitisを疑い,生検を行ったところ,大腸上皮直下にcollagen bandを認め,collagenous colitisと診断した.ランソプラゾールとの関連を疑い,薬剤を中止したところ症状の消失を認めた.