Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
ストレイン/スペックルトラッキング1

(S530)

スペックルトラッキング心エコー法を用いた収縮早期伸展運動による虚血メモリー評価

The assessment of early systolic lengthening for detecting ischemic memory

増田 佳純, 浅沼 俊彦, 櫻井 大輔, 郡山 晃, 岡 雅通, 小谷 晃一郎, 中谷 敏

Kasumi MASUDA, Toshihiko ASANUMA, Daisuke SAKURAI, Hikaru KORIYAMA, Masamichi OKA, Koichiro KOTANI, Satoshi NAKATANI

大阪大学医学系研究科保健学専攻機能診断科学講座

Osaka University Graduate School of Medicine, Division of Functional Diagnostics

キーワード :

【背景】
Post-systolic shortening(PSS)は心筋虚血の鋭敏な指標であり,虚血改善後もしばらく残存するため,虚血メモリー評価に有用と考えられる.近年,心筋虚血時に収縮早期伸展運動(early systolic lengthening: ESL)が生じ,これをスペックルトラッキング心エコー法で同定できることが明らかになった.本研究では,スペックルトラッキング心エコー法を用い虚血再灌流後に生じたESLが虚血メモリーの指標となりうるか検討した.
【方法】
麻酔開胸犬16頭において,左冠動脈回旋枝を2分間閉塞後,再灌流した.GE Vivid E9を用い,閉塞前,閉塞時,再灌流10,30分後に左室短軸像を取得し,スペックルトラッキング法にて,circumferentialストレインを解析した.ストレイン波形から,虚血領域と非虚血領域の収縮期最大ストレイン(εsys),PSSの指標としてpost-systolic index(PSI),ESLの指標としてESLの最大振幅(εESL)及び,持続時間(ESL時間)を計測した(Figure).
【結果】
非虚血領域において,εsysは閉塞時に高値を示したが,再灌流後速やかに回復し,PSI,εESL,ESL時間は変化が見られなかった.虚血領域において,εsysは閉塞時に低値を示したが,再灌流後速やかに回復した.一方,PSI,ESL時間は閉塞時に高値を示し,再灌流10分後も閉塞前のレベルまで回復しなかった(閉塞前vs.再灌流10分後:PSI; 0.02±0.04 vs. 0.19±0.10,p<0.05,ESL時間;88±30 vs. 118±38[ms],p<0.05).εESLは閉塞時には高値を示したものの,再灌流後速やかに回復した.ROC曲線による再灌流10分後の虚血メモリー診断精度は,ESL時間で感度63%,特異度81%であった.
【結語】
スペックルトラッキング心エコー法を用い虚血再灌流後に生じたESLが虚血メモリーの指標となりうる可能性が示唆された.