Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能1

(S524)

Duchenne型筋ジストロフィーにおける左心機能の経年変化

Effect of age on left ventricular function in patients with Duchenne muscular dystrophy

堀家 由貴1, 山田 博胤1, 2, 西尾 進1, 發知 淳子2, 林 修司1, 玉井 佑里恵1, 宮崎 達志3, 足立 克人3, 齋藤 憲4, 佐田 政隆1, 2

Yuki HORIKE1, Hirotsugu YAMADA1, 2, Susumu NISHIO1, Junko HOTCHI2, Shuji HAYASHI1, Yurie TAMAI1, Tatsushi MIYAZAKI3, Katsuhito ADACHI3, Ken SAITO4, Masataka SATA1, 2

1徳島大学病院超音波センター, 2徳島大学病院循環器内科, 3独立行政法人国立病院機構徳島病院四国神経筋センター, 4徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部生体機能解析学

1Ultrasound Examination Center, Tokushima University Hospital, 2Cardiovascular Medicine, Tokushima University Hospital, 3Center of Neuro-mascular Disease, National Hospitsl Organization Tokushima hospital, 4Chronomedicine, Institute of Health Biosciences, the University of Tokushima Graduate School

キーワード :

【背景】
Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の主な死因は呼吸不全と心不全であるが,近年呼吸管理法や在宅人工呼吸療法の進歩により,約半数を占めていた呼吸不全死が激減し,心不全による死亡率が高くなっている.また,DMDの心筋障害に対しては,近年ACE阻害剤やβ遮断薬が用いられ,心機能の改善効果が報告されている.今回我々は,DMD患者の左室機能指標について,その経年変化を検討した.
【方法】
1993年4月から2013年11月の間に徳島病院にて2回以上経胸壁心エコー検査を行ったDMDの患者91例を対象とし,後ろ向き研究を行った.断層およびMモード心エコー法を用いて計測された左室拡張末期径(LVDd),左室内径短縮率(%FS),左房径(LAD)について検討した.検査時の年齢により5歳毎に分類して,各指標に対する加齢の影響を検討した.また,20歳以降で複数回の観察が行えた72例においてそれぞれの指標の年次変化を求めた.
【結果】
観察開始の年齢は16±6歳(4〜39歳),平均観察期間は10±6年(1〜20年)であった.LVDdは10代まで次第に大きくなり,20〜40歳代での変化はあまりなかった.%FSは20歳代前半までは低下がみられ,それ以降は25%程度で変化を認めなかった(左図).LADは10歳代後半から40歳代まで低下し続けた.%FSが28%より小さくなったのは,10歳時では4%,15歳時21.1%,20歳時50.5%,25歳時74.5%,30歳時84.7%であり,平均19±5歳であった.FS<28%をエンドポイントとして作成したカプランメイヤー曲線を右図に示す.20歳代以降におけるLVDd,%FS,LADの平均年次変化は,それぞれ-0.4±2.3mm,-0.5±2.4%,-0.3±3.4mmであった.
【結語】
91例のDMD患者における左室機能の経変年化について,心エコー検査を用いて検討した.心機能低下に対する薬物療法によって患者の予後は従来よりも改善しているが,今回の調査では20歳で約半数の例がFS<28%を呈していた.心機能低下の出現時期には個人差があり,その検出には心エコー検査による定期的スクリーニングが重要であると考えられた.