Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
心機能1

(S523)

In vitro超音波計測による電気的興奮に伴う心筋の収縮応答の可視化

Visualization of myocardial contraction response driven by electrical excitation by in vitro ultrasonic measurement

藤田 雄太1, 田頭 秀章2, 長谷川 英之1, 3, 福永 浩司2, 金井 浩1, 3

Yuta FUJITA1, Hideaki TAGASHIRA2, Hideyuki HASEGAWA1, 3, Kohji FUKUNAGA2, Hiroshi KANAI1, 3

1東北大学大学院医工学研究科医工学専攻, 2東北大学大学院薬学研究科生命薬科学専攻, 3東北大学大学院工学研究科電子工学専攻

1Department of Biomedical Engineering, Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, 2Department of Bio-Pharmaceutical Science, Graduate School of Phrmaceutical Sciences, Tohoku University, 3Department of Electrical Engineering, Graduate School of Engineering, Tohoku University

キーワード :

【目的】
本研究グループは非侵襲かつ定量的な心筋の組織性状診断の実現のため,ヒト心臓における心筋収縮による振動の伝播を超音波でin vivo計測することに成功した[1].しかし,計測されたこの振動の伝播が洞房結節より生じた電気的興奮に伴う収縮応答であることを示すためには,興奮と収縮応答の時間的対応関係を明らかにする必要がある.そこで,本報告ではラット摘出心筋を用いた電気的興奮に伴う心筋の収縮応答のin vitro計測を行う.
【原理】
計測対象はラット心臓より摘出した左心室壁であり,Krebs-Henseleit Solution(37℃,酸素99.7%)で満たしている培養槽内の2つのフックに固定した.電気刺激は方形パルス2 Hzとし,収縮が生じる最小の電圧振幅に調整後,電極を徐々に心筋へ近づけ収縮が開始した場所で固定した.これにより,心筋の末端部のみ電気刺激が行われるようにした.この電気刺激信号は超音波診断装置にも同時に入力することで,超音波計測開始のトリガーとした.計測にはリニアプローブを用い,parallel beam forming(PBF)[2]により3472 Hzの高フレームレート計測を実現した.また,収縮応答は位相差トラッキング法[3]を用いて振動速度波形として計測した.得られた振動速度波形のうち基準となる振動速度波形v_refを設定し,この波形に対する心筋内各地点の振動速度波形の遅延時間を相互相関関数により算出した.さらに,遅延時間をv_ref計測地点からの距離に対してプロットして,近似直線を最小二乗法により決定し,その傾きから収縮応答の伝播速度を算出した.
【実験結果】
図は,心筋表面で計測した72本の振動速度波形のうち,最も電極側に近いbeam 4における振動速度波形v_refに対する各地点での遅延時間を示している.遅延時間は4拍分の速度波形に関する平均値から算出し,さらに心筋表面から深さ0.3 mmまでの15点での平均値とした.その結果,電極から離れるごとに振動速度波形の遅延時間が徐々に大きくなる様子が示され,収縮応答の伝播速度csは3.9 m/sと算出された.
【総括】
本報告では,ラット摘出心筋を用いたin vitro実験によって,電気的興奮に伴う収縮応答を振動速度波形として示し,収縮の遅延時間を算出することで収縮応答が伝播することを示した.
【参考文献】
[1]Kanai and Tanaka, Jpn. J. Phys., 2011.
[2]Hasegawa and Kanai, IEEE Trans UFFC., 2008.
[3]Kanai, et al.: IEEE Trans. UFFC, 1996.