Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
症例報告・その他1

(S518)

心エコー検査で認めたIgG4関連疾患による冠動脈周囲炎の一例

A case of IgG4-related periarteritis in the coronary artery

別府 史子1, 東 亮子1, 涌井 美幸1, 鳴海 純1, 佐藤 愛1, 大野 めぐみ1, 萩原 三千男1, 東田 修二1, 磯部 光章2, 東條 尚子1

Fumiko BEPPU1, Ryoko AZUMA1, Miyuki WAKUI1, Jun NARUMI1, Ai SATO1, Megumi ONO1, Michio HAGIHARA1, Shuji TOHDA1, Mitsuaki ISOBE2, Naoko TOJO1

1東京医科歯科大学医学部附属病院検査部, 2東京医科歯科大学医学部附属病院循環制御内科学

1Clinical Laboratory, Medical Hospital of Tokyo Medical and Dental University, 2Cardiovascular Medicine, Medical Hospital of Tokyo Medical and Dental University

キーワード :

【症例】
59歳,男性
【現病歴】
2004年,リンパ球浸潤を伴った間質性腎炎にてステロイド治療を行った.2009年,左C8神経腫瘍に対し切除術を施行した.病理組織検査で悪性リンパ腫と診断され,加療していた.2010年,腹部大動脈瘤,両側内腸骨動脈瘤に対し手術を行い,IgG4陽性の形質細胞浸潤を伴った炎症性腹部大動脈瘤と診断された.術前評価のため行った冠動脈造影にて冠動脈の壁肥厚と狭窄,および左鎖骨下動脈の壁肥厚を認めた.2011年IgG4異常高値を認め,一連の経過からIgG4関連疾患が疑われた.2012年のPETにて心膜,冠動脈に異常集積認めた為,精査目的に心エコー検査を施行した.
【検査結果】
心エコー検査では冠動脈を鞘状にとり囲む辺縁が高輝度,内部が低輝度エコーの腫瘤を認めた.その中央に石灰化を伴った冠動脈を認めたが,冠動脈の明らかな狭窄は認めなかった.腫瘤は最大で42mm×26mm,左冠動脈主幹部で33mm×29mmであった.
冠動脈CTの結果では,3枝全てに冠動脈周囲の巨大な軟部組織陰影が認められ,冠動脈壁が肥厚・腫瘤化した冠動脈周囲炎が疑われた.
【経過】
緩徐ではあったが冠動脈腫瘤は拡大傾向にあり,PSL 40mgの投与が開始された.内服加療1ヶ月後の心エコー検査にて冠動脈腫瘤は21mm×19mmと著明に縮小していた.また,IgG4も入院時4125mg/dlから600mg/dlへと低下を認め,その後も良好に経過している.
【結語】
心エコー検査にてIgG4関連疾患による冠動脈周囲炎の一例を経験したので報告する.