Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 循環器
小児/先天性心疾患

(S509)

小児に於けるTAPSEの正常標準値のこれまでの報告値との比較

Normal values of TAPSE in children: comparison to previous report

橋本 郁夫

Ikuo HASHIMOTO

富山市民病院小児科

Pediatrics, Toyama City Hospital

キーワード :

【目的】
右室収縮能を推定する方法としてM-mode心エコー法を用いたTricuspid annular plane systolic excursion(TAPSE)は簡便性と再現性に優れた方法として欧米では広く普及しているが,本邦では正常データがないこともあり普及しているとは言い難い.小児においてはKoestenberger(JASE 2009年)らの報告以外数件しかない.人種差に関する検討もなく本邦における正常データを作製することが期待される.今回,当院において正常小児928例のTAPSEを計測しKoestenbergerらの報告と比較した.
方法と対象:精査の異常なしと判断された小児928例(男児537例,女児391例,0-20才)を対象とした.心エコーは四腔断面像から三尖弁輪をM-mode法を用いその1心周期あたりの偏位を測定し,4−5心拍分の平均をTAPSEとした.Koestenbergerのデータは2009年JASEに報告された正常値を用いた.
【結果】
当院TAPSEの男児の平均は19.22±4.65 mm,女児の平均は19.09±4.33 mmと若干男児が大きい傾向を認めたが統計的な有意差は認めなかった.男女とも生後直後から急速にTAPSEは増加し1才頃より緩やかな上昇に変化しこの変化はKoestenbergerの報告と同様であった.しかし,各年齢にいていずれの計測値も図のごとく当院の計測値の方が大きい傾向にあった.
【結語】
今回,928例の比較的大きな母集団も用いた比較において当院での計測がKoestenbergerの報告に比べ大きい傾向を認めた.この差異が人種差によるものか測定の誤差なのか,用いたエコー機器の差によるものかは定かではないが,人種差による影響は無視できないものと思われる.今後本邦の正常値に関して多施設間での更なる検討が必要である.