加藤 雅也^{1, 2}, 二宮 信雄³, 住元 庸二¹, 原田 和歌子²

Masaya KATO^{1, 2}, Nobuo NINOMIYA³, Yoji SUMIMOTO¹, Wakako HARADA²

¹広島市立安佐市民病院循環器内科, ²広島市立安佐市民病院総合診療科, ³広島市立安佐市民病院臨床検査部

¹Department of Cardiology, Hiroshima City Asa Hospital, ²Department of General Medicine, Hiroshima City Asa Hospital, ³Department of Clinical Examination, Hiroshima City Asa Hospital

キーワード :

完全左脚ブロック（CLBBB）に伴う重症心不全患者に対して心臓再同期療法（CRT）が有効性である．CRTのResponderの事前予測についてPROSPECT研究で超音波検査による予測が不十分であるという結論に達したが，Jansenらはeyeballing評価によるapical shuffle motion単独でCRT後のreverse remodelingを感度73％から86％，特異度75％から88％で予測でき，eyeballing評価でも十分であると報告した．われわれはEyeballing評価にてApical shuffle motionを認めるCLBBB患者の臨床的特徴を検討した．
【方法】
経胸壁心臓超音波検査（TTE）を行ったCLBBB患者54例を対象とし，Eyeballing評価によるApical shuffle motionの有無で2群に分類した．Shuffle motionの判定は日本超音波医学会認定超音波専門医および超音波検査士の2名の合意にて行った．患者の臨床的背景因子，心電図所見，胸部レントゲン写真の心胸郭比，TTE所見を比較検討した．
【結果】
20例（37％）にApical shuffle motionを認めた．Apical shuffle motionを認める患者ではBNP値が有意に高く（p＜0.003），胸部レントゲン写真では心胸郭比が有意に大きかった（p＜0.003）．心電図では心拍数が有意に多く（p=0.0002），QRS幅は有意に大きく（p＜0.03），QTc時間が有意に長かった（p＜0.02）．TTEではShuffle motionを認める患者群で有意に左房収縮期径，左室拡張末期径および収縮末期径が大きかった（それぞれp＜0.006，p＜0.0001およびp＜0.0001）．また左室駆出分画は有意に小さかった（p＜0.0001）．また，左室駆出時間は有意に短く（p＜0.005），A’波高，S’波高は有意に低く（p=0.002およびp=0.0003），E/E’は有意に大きかった（p＜0.02）．
【総括】
EyeballingでApical shuffle motionを認めるCLBBB患者は，左室収縮機能因子だけでなく，より左室拡張機能因子の障害が強い．