日高 貴之, 宇都宮 裕人, 光波 直也, 石橋 堅, 北川 知郎, 土肥 裕由, 中野 由紀子, 栗栖 智, 山本 秀也, 木原 康樹

Takayuki HIDAKA, Hiroto UTSUNOMIYA, Naoya MITSUBA, Ken ISHIBASHI, Tomohito KITAGAWA, Yoshihiro DOHI, Yukiko NAKANO, Satoru KURISU, Hideya YAMAMOTO, Yasuki KIHARA

広島大学病院循環器内科

Department of Cardiovascular Medicine, Hiroshima University Hospital

キーワード :

【背景】
近年，グルタルアルデヒド処理された自己心膜を用いた大動脈弁再建術（AVrC）の有用性が報告されているが，AVrC後の患者において運動負荷によって生じる有効弁口面積（EOA）変化に関する報告はない．
【目的】
AVrC後の患者において運動負荷によって生じるEOA変化について経胸壁心エコー図を用いて検討すること．
【方法】
対象は，当院にて大動脈弁疾患に対してAVrCが施行され，運動負荷心エコー図検査を行った患者5名（66.8±15.1歳），そのうち狭窄症2名，閉鎖不全症2名，狭窄症兼閉鎖不全症1名であった．臥位エルゴメーターを用いた症候限界性多段階運動負荷を行った．同時に心エコー図検査を施行し，安静時，最大運動負荷時における左室流出路血流，大動脈弁通過血流を測定しEOAを算出した．
【結果】
運動負荷心エコー図検査は，大動脈弁形成術術後1　18ヶ月の間に施行された．安静時LVEF（％）は，57.4±7.4であった．一回心拍出量（ml）は安静時と比して運動負荷により増加の傾向を認めた（64.0±32.8 vs. 93.4±40.6，p = 0.06）．大動脈弁通過血流最大速度（m/s）は安静時に比して運動負荷時に有意に増加した（1.9±0.5 vs. 2.2±0.7，p = 0.04）．EOA（cm²）は，安静時に比して運動負荷時に有意に増加した（2.0±1.2 vs. 2.6±1.2，p = 0.046）．運動負荷前後におけるEOA変化量と左室流出路血流時間速度積分変化量の間に相関が認められた（R2 = 0.73，p = 0.04）．
【結語】
AVrCでは運動負荷によりEOAは，一回心拍出量の増加に伴い増加する．