Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

一般口演 基礎
バブル・音響放射力

(S492)

超音波によるマイクロバブルのマニピュレーション手法に関する研究

Investigation of manipulation technique of microbubbles by ultrasound

尾崎 太一1, 井上 和仁1, 東 隆1, 一柳 満久2, 高木 周1, 松本 洋一郎1

Taichi OSAKI1, Kazuhito INOUE1, Takashi AZUMA1, Mitsuhisa ICHIYANAGI2, Shu TAKAGI1, Yoichiro MATSUMOTO1

1東京大学工学系研究科, 2上智大学理工学部

1Department of Mechanical Engineering, The University of Tokyo, 2Department of Engineering and Applied Science, Sophia University

キーワード :

【目的】
近年,超音波と直径数m程度のマイクロバブルを組み合わせた治療方法の研究が盛んに行われている.もし超音波によるマイクロバブルの非接触で正確なマニピュレーションが可能となれば,薬剤キャリアとしてマイクロバブルを選択したDrug Delivery System(DDS)や,遺伝子導入といった技術のメカニズム解明へ大きく貢献すると考えられている.そこで本研究では,超音波によるマイクロバブルの非接触なマニピュレーション手法の開発を目的とする.
【方法】
超音波音場中のマイクロバブルには,気泡の体積振動と音圧勾配との積の時間平均で表される第一ビヤクネス力が働く.この力はバブルの半径が共振半径より小さいと定在波音場の腹の方向に,大きいと節の方向に働く.この力を利用して,水中に任意の音圧勾配をつくりマイクロバブルを特定の位置にトラッピングした.さらに音圧分布を変化させることでトラップしているバブルのマニピュレーションを行った.実験ではリング型,集束型の二種類のトランスデューサを用いた.周波数はそれぞれ1.0MHzと2.0MHzである.それぞれの装置で焦点にマイクロバブルとしてソナゾイドを集め,リング型では6分割された素子の位相変化により焦点を動かし,集束型ではトランスデューサ自体の位置を動かすことで集束超音波によってトラッピングされているバブルのマニピュレーションを行った.
【結論】
リング型の実験では図左に示すようにマイクロバブルが同心円状にトラッピングされ,位相制御により一辺約200ミクロンの六角形に沿った狙った軌跡でマイクロバブルをマニピュレートすることに成功した.集束型では焦点にバブルがトラッピングされ,トランスデューサを動かすことにより,約0.5×0.5ミリの長方形の領域に沿ってマイクロバブルのマニピュレーションに成功した.この結果では約100個程度のオーダーのバブルが集まったバブルクラウドがトラップ,マニピュレーションされている.図右にトランスデューサの軌跡とマイクロバブルの軌跡を示す.今後はトラッピング力やマニピュレーション精度などの定量的な性能評価を行い,手法としての妥当性を検証する.トラッピング力評価の際にはリング型,集束型トランスデューサとマイクロバブルを流す流路を用いる.