Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

奨励賞演題
消化器 奨励賞

(S455)

肝腫瘤性病変における造影超音波検査の一般化〜各評価項目の普遍性と今後の課題〜

Generality of contrast enhanced ultrasonography with sonazoid for hepatic nodular lesions

土谷 薫1, 安井 豊1, 玉城 信治1, 大崎 理英1, 鈴木 祥子1, 細川 貴範1, 板倉 潤1, 松永 光太郎2, 黒崎 雅之2, 泉 並木1

Kaoru TSUCHIYA1, Yutaka YASUI1, Nobuharu TAMAKI1, Rie OSAKI1, Shoko SUZUKI1, Takanori HOSOKAWA1, Jun ITAKURA1, Kotaro MATSUNAGA2, Masayuki KUROSAKI2, Namiki IZUMI1

1武蔵野赤十字病院消化器科, 2武蔵野赤十字病院病理部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital, 2Department of Pathology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
2013年度版肝癌診療ガイドラインには肝細胞癌の分化度診断および存在診断に造影超音波検査が有用であると明記されている.一方超音波検査は術者依存性が強く,特に造影超音波検査では所見の評価が困難な場合がある.今回我々は造影超音波検査の一般化にむけて各評価項目の所見の一致率および病理所見との比較を行い現時点での普遍性と今後の課題について検討した.
【対象と方法】
当院にてソナゾイド造影超音波検査を施行し治療または経過観察を6ヶ月以上行うことのできた肝腫瘤性病変120結節を対象とした.超音波装置は東芝メディカルシステムズ社製Aplio 500を使用し,ソナゾイドは0.5ml/bodyを急速静注した.評価項目は血管相でのwashoutの有無・Maximum intensity projection(MIP)画像の評価(fine, vascular, irregular)・後血管相での腫瘤部染影低下や欠損の有無(低下や欠損あり・なし)とした.非超音波専門医と専門医が独立して所見を判定しその一致率を検討,また腫瘍生検施行例や肝切除症例において病理診断と各所見の対比を行った.ラジオ波焼灼術(RFA)施行例ではその臨床経過を検討した.
【結果】
平均腫瘍径は16mm,男性76例・女性44例,病理診断は早期肝細胞癌1例・高分化型肝細胞癌6例・中分化型肝細胞癌10例・低分化型肝細胞癌2例・炎症性偽腫瘍2例,限局性結節性過形成1例,転移性肝癌1例,他の画像検査(造影CTまたはMRI検査)にて血管腫4例であった.血管相でwashoutを認めず後血管相で低下や欠損を示さない10結節は全例6ヶ月以内の多血化を認めなかった.一方中分化型肝癌は全例後血管相の低下または欠損を示し超音波専門医・非専門医間での判定一致率は100%であった.血管相でのMIP診断一致率は腫瘍径20mm以下でfine, vascular, irregularの3分類では56.1%,fineとvascular + irregilarの2分類では61.4%であった.腫瘍径20mm超ではfine, vascular, irregularの3分類では68.8%,fineとvascular + irregularの2分類では81.3%であった.血管相washoutの読影所見一致率は腫瘍径20mm以下84.5%・20mm超55.6%であった.RFA後局所再発を3例に認め全例がMIP vascularかつ後血管相欠損パターンであった.
【考案】
ソナゾイド造影超音波検査の後血管相は肝細胞癌組織分化度を反映し術者や読影者依存性の低い評価項目である.現在のMIP画像は特に腫瘍径が小さくなると細分類は困難であり,腫瘍径が大きくなると肉眼的なwashoutの診断は不確定となる.
【結論】
ソナゾイド造影超音波検査において後血管相所見は普遍性があり,一方血管相については更なる検査技術の発展が必要である.