Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 腎泌尿器
パネルディスカッション 腎泌尿器1尿路結石の超音波診断をもう一度見直そう!

(S406)

腎尿管結石診断における超音波検査の有用性

The efficacy of ultrasonography for the detection of renal and ureteral stones

寒野 徹1, 東 義人1, 山田 仁1, 中村 彩子2, 広瀬 幸乃2, 丹羽 景子2, 鮎川 宏之2

Toru KANNO1, Yoshihito HIGASHI1, Hitoshi YAMADA1, Ayako NAKAMURA2, Yukino HIROSE2, Keiko NIWA2, Hiroyuki AYUKAWA2

1医仁会武田総合病院泌尿器科, 2医仁会武田総合病院検査科

1The department of Urology, Ijinkai Takeda General Hospital, 2The department of examination, Ijinkai Takeda General Hospital

キーワード :

【目的】
単純CTは尿路結石の診断において感度特異度とも非常に高く,現在第一選択と考えられているが,被爆の問題は無視できず,特に経過観察を要する症例や再発を繰り返す症例では複数回の検査を要するため大きな問題となっている.一方,超音波検査は被爆の問題がなく,コスト面を考慮しても非常に有用であると考えられる.しかしながら,超音波検査の尿路結石における感度特異度に関しては一定の見解は出ていない.それゆえ,本研究は腎尿管結石診断における超音波検査の有用性を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
当院を2009年1月〜2011年12月に外来受診した患者で,尿管結石の疑いで尿路の超音波検査と単純CTを同日に施行した428症例を対象とした.CTと超音波の検査は独立して所見をつけ,CTを基準として超音波の所見を検討した.腎結石に関しては上中下腎杯の3つにわけ検討を行った.結石サイズ別,部位別に超音波の感度を検討した.また単変量多変量解析を用いて腎結石,尿管結石に関与する因子をそれぞれ解析した.
【結果】
CTで361腎に474結石認め,そのうち超音波では332個確認できた(感度70.0%,特異度94.4%).またCTで同定された171尿管結石のうち,超音波では98個確認できた(感度57.3%,特異度97.5%).腎結石,尿管結石とも感度は結石サイズと共に改善し,5.1-10mm,10.1mm以上の感度は腎結石ではそれぞれ84.8%,93.5%,尿管結石ではそれぞれ64%,88.9%であった.部位別感度では腎内では左上腎杯が52.7%,尿管内では下部尿管が40.8%で有意に感度が低かった.結石サイズを0-5mm,5.1-10mm,10.1mm以上の3群に分類し,CTと超音波で測定された結石長を比較すると,腎結石では332結石中240結石(72%),尿管結石では98結石中68結石(69.4%)が同一グループに分類された.超音波での結石描出に関与する因子を解析すると,腎結石では結石長のみが,尿管結石では結石長と水腎症の有無が関与していた.
【結論】
超音波検査の感度は特に5mm以上の結石で腎結石,尿管結石とも比較的良好であり,結石長の測定にも有用である.それゆえ,超音波検査は腎尿管結石の診断に有用であると考えられた.