Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 コメディカル
パネルディスカッション コメディカル1さまざまな立場の超音波検査士をマネージメントする

(S378)

派遣会社を介して働く超音波検査士

Sonographer to work through a temp agency

廣瀬 保彦

Yasuhiko HIROSE

株式会社パラメディカル代表取締役

CEO, Paramedical Corporation

キーワード :

【教育】
検査士をもっているのかどうかは,持っていて当たり前で持っていなければ論外.ただし持っていなくても超音波検査士を取得する意思があれば考慮する.実際に超音波検査をしてもらい技術の評価をして足りない所を指摘し改善してもらう.ゼロから育てる場合もある.基本的な技術や症例の読み方(初期教育)は社内教育で行っていく.書籍やネット上に沢山の症例画像があるので,それらを用いて症例の読み方や所見の書き方教えていく.典型像以外の困難な症例は,実際に見て経験できるように病院での研修をお願いしている.また,ある程度の技術を持った超音波検査士がスキルアップするための研修も同様である.どこの施設でも同様であるが,基本的には本人の意識レベルの問題なのでモチベーションが上がるように仕向けることが重要と思われる.雇用後も積極的にレベルアップできるような勉強の場を与えられるように考慮している.
【環境】
重要なのが検査人数と検査時間である.一人当たりどの位時間をかけていいのか,半日で何人とればいいのかという決まり事である.例えば,所見はその場で書かないといけないのか,検査が全て終わった後にまとめて書き上げればいいのか,患者は受付まで呼びにいくのかなどによって一人当たりの検査全体にかかる時間が変わってくるし,所見の記入が紙ベースなのか電子カルテなのか所見入力システムなのかによっても変わってくる.超音波検査装置は何を使っているのか?部屋の広さや明るさなどはどうなっているか?あまりにも古い超音波検査装置であれば精度や検査時間にかかわるので買い換えてもらわないといけない場合もでてくる.これらの内容を相談し,決定していく.いかに良い環境で検査ができるかで精度が変わってきてしまうので,最初にある程度の事を決めるようにすることが肝要である.
【待遇】
個人が医療施設と契約する平均的な金額か,それ以上の金額を派遣の超音波検査士に支払い,契約先にはその額の2割から3割増しの金額を請求している.当社では,社員の超音波検査士と登録の超音波検査士が在籍し,登録の中には病院などに常勤で勤めている技師とフリーで働いている技師がいる.社員は当然ながら,登録の方も要件を満たせば社会保険や労働保険に加入する義務が会社に発生する.会社側の負担は大きくなるが,国民健康保険から社会保険に代わることで個人の負担は軽減される.
環境や設備,賃金などに関しては,当社が先方と交渉し,その条件で了承していただける超音波検査士を探す.当然,個人のキャラクターや施設のカラーなどがあるため,上手くマッチングするような人材を見つけなければならない.マッチングさせることができないと,派遣先からも派遣される超音波検査士からも良い評価をしてもらうことができない.
トラブルに関しては,よほどの事がない限り会社の対応で解決している.会社がトラブルを処理するという事を理解している人とそうでない人がいる.責任の所在に関しては内容によって変わってくるため何とも言えないが,派遣先・派遣会社・派遣された超音波検査士のそれぞれが連携をしてミスがないようなシステムを構築していく話し合いが十分に持てるかが大事になってくる.
さまざまな働き方がある中に派遣で働くという選択肢も今後は増えてくると思われる.また,派遣の超音波検査士を依頼する側も,常勤を雇用するよりコストがかからずに超音波機器や超音波検査に関して専門的な知識のある人材を得られるのは,超音波検査室の負担や経営の負担を減らせるメリットがあるといえるのではないだろうか.