Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 甲状腺・副甲状腺
ワークショップ 甲状腺・副甲状腺1甲状腺結節診断におけるドプラエコーの有用性について

(S364)

甲状腺結節診断におけるカラードプラの有用性

The aim and the standardization of color Doppler imaging go thyroid mass lesions

宮本 幸夫

Yukio MIYAMOTO

東京慈恵会医科大学放射線医学講座超音波診断センター

Diagnostic Ultrasound Center, Department of Radiology, Jikei University School of Medicine

キーワード :

カラードプラ法は,1982年,アロカ社の技術者であった滑川氏が開発して,正式に発表された.日本人が発明し開発したものであり,世界に向けて日本人の誇るべき金字塔とも言える技術である.カラードプラ(広義)は,速度モード(狭義のカラードプラ)とパワーモードに区分されるが,現在ではカラードプラ法の発展形としてPFD;pulsatile flow detection(拍動流検出法),Superb Micro-vascular Imaging (SMI)など,様々なものが誕生してきたため,カラードプラ法の区分も従来の様に単純なものではなくなってきている.さらに,B flow法や超音波造影法など,カラードプラ原理を使わない新しい血流イメージング法も開発されて来ており,一括して,フローイメージングと呼ばれる広い世界が展開し,まさに日進月歩の時代と言える状況を呈している.
今回のパネルディスカッションにおいては,古典的な意味におけるカラードプラ甲状腺結節診断における有用性ににつき明らかにするために,議論する予定である.
甲状腺のカラードプラに関する報告がおこなわれて以来,長い月日がたち,実際の診療の場においても,ドプラ検査は現在盛んに行われているが,カラードプラ診断の,方法や診断基準などに関しては,評価が一定せず,その標準化の必要性が大きく問われている.カラードプラ法を用いた腫瘤性結節のvassucularity(血流の多寡),血管走行,血管(血流)の見え方(広狭不整や途絶の有無など),血管の分布などをはじめとして,カラードプラ所見は多岐にわたっている.これらを統一した診断基準自は未だに決定打というべきものが存在しない.各診断法の成績に関しても,ランダマイズドトライアルはもちろんのこと,大規模なものは公表されていない.したがって,臨床の現場においては,甲状腺ドプラ検査に関して多くの混乱を招いており,施設間の診断レベルの格差はかなり大きいと言わざるを得ないのが現状であろう.今回は,こうした数多くの問題点に焦点を当て,カラードプラの標準化に向けて,その有用性と問題点とを明らかにすることを議論の目的とする.