Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 乳腺
パネルディスカッション 乳腺2術前診断がDCISであった症例の検討—画像診断の特徴について

(S347)

発生・進展から考えるDCISの超音波画像

The ultrasonographic image of DCIS considered from generating and progress

森島 勇

Isamu MORISHIMA

公益財団法人筑波メディカルセンター診療部乳腺科

Senology, Tsukuba Medical Center Foundation

キーワード :

大部分のDCISは終末乳管-小葉単位(TDLU)の上皮に発生し,基底膜に囲まれた空間内に増殖しながら,歪みを伴いながら,小葉内や小葉外乳管へ伸びていく.空間内での増殖パターンは,コメド型,篩状,微小乳頭状,充実性などとさまざまである.その過程で,浸潤能を獲得すれば,基底膜を破り小葉あるいは乳管の間の線維組織や脂肪組織へ浸潤し,間質反応を伴った腫瘤(Mass)を形成する.充満した小葉と小葉外乳管はサイズアップし,超音波では,通常の小葉よりもエコーレベルが低く,やや大きめの数ミリ大の円形の低エコー小塊を呈する.狭い範囲で管内に充満すれば,単体あるいは集合体として腫瘤(Mass)を形成する.ゆっくりあるいは早い時間経過で,腺葉内に広がれば,区域性に小結節が複数個並ぶ形か斑状から地図状の低エコー域(Non mass)を呈する.また,放射状瘢痕などの良性増殖性病変にも並存することがあり,その場合は背景病変の形態が画像に反映される.管内での増殖が強いタイプは,中心壊死・小葉外乳管への広がりの傾向がある.壊死型や分泌型石灰化は,形成までの時間経過の影響を受ける.装置の進歩により,超音波でも石灰化が充分とらえられるようになっている.臨床的に異常乳頭分泌を呈して単一の中枢の乳管拡張所見のケースや嚢胞内腫瘍として嚢胞内の乳頭状病変を呈するケース(多くはencapsulated papillary ca.)もある.DCIS画像としては,Mass(小結節単発・多発,嚢胞内腫瘍,良性増殖性病変に並存),Non mass(低エコー域,乳管拡張,点状高エコーのみ)に分類できる.遭遇比率はおおよそ6:4〜7:3程度である.乳癌の発生進展を念頭におくと,病理組織に近づいた超音波診断を行うことができる.
病理組織結果で浸潤巣を有したケースは,エコーレベルが低い・壊死型石灰化を示唆する点状高エコーを有する・区域性など広範囲・間質反応を伴う小結節を含む・間質反応を伴ったひきつれ・針生検でER-/PgR-といった傾向がある.
逆に,cT2(4cm)N0・TN typeで術前化学療法の対象となるようなケースで,超音波所見が,間質反応を伴う様なmassではなく,区域性の低エコー域であった場合,治療方針を立てる際に,管内成分優位の病変で浸潤サイズの小さな癌と考えることができ,過剰な化学療法を回避できる可能性がある.