Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 循環器
シンポジウム 循環器2ストレイン測定が,臨床で本当に役立つ病態

(S284)

拡張型心筋症におけるストレイン測定の重要性;心筋切除部位の決定

Importance of strain analysis for patients with dilated cardiomyopathy; Detection of the exclusion area of non-functional LV wall

廣田 真規1, 納富 雄一2, 金井 俊一2, 石渡 史江2, 坂井 一徳2, 星野 丈二1, 近藤 太一1, 高橋 雄1, 飯田 浩司1, 磯村 正1

Masanori HIROTA1, Yuichi NOTOMI2, Shun-ichi KANAI2, Fumie ISHIWATA2, Kazunori SAKAI2, Joji HOSHINO1, Taichi KONDO1, Yu TAKAHASHI1, Hiroji IIDA1, Tadashi ISOMURA1

1葉山ハートセンター心臓血管外科, 2葉山ハートセンターエコー検査室

1Cardiovascular Surgery, Hayama Heart Center, 2EchoLab, Hayama Heart Center

キーワード :

【目的】
拡張型心筋症(DCM)は,左心室のfocalもしくはglobal akinesisを伴った左室内腔が拡大した状態である.その原因が虚血である場合には,冠動脈病変に一致した左室の障害部位が推測されるが,非虚血性の場合には障害部位の同定が困難である.そのため,我々は左室心筋切除部位を決定するために,speckle-tracking echocardiographyを使用し,左室形成術を施行することで良好な成績を得ている.
【対象】
2000年から2012年の間に,外科的治療を施行した384例の非虚血性DCM症例の中で,筋ジストロフィー6例(1.6%)と心サルコイドーシス14例(3.6%)を対象とした.
【方法】
それぞれ,診断は術前後の組織にて確定診断を得た.障害部位の決定には,speckle-tracking echocardiographyでドブタミン負荷を行いストレインの大きいところを切除部位とし,その領域を切除する術式を選択し心尖部にはendo-ventricular circular patch plasty(EVCPP),広範囲な前壁中隔には,septal anterior ventricular exclusion(SAVE),後壁にはposterior restoration procedure(PRP)を行った.ジストロフィーの6例は,全症例後壁限局した異常を認めPRPを施行した.心サルコイドーシスの14例は,13例に限局性病変を認め,その部位を長軸方向でbasal, mid, apicalに,短軸方向をseptal, anterior, lateral, posteriorに分けて部位別分布率を示すと,長軸ではmid(85%), apical(69%), basal(31%)で,短軸では,anterior(62%), septal(54%), posterior(31%), lateral(23%)の順で高分布であった.また,それぞれの疾患には,機能性僧帽弁閉鎖不全症を合併しており,全症例に僧帽弁形成術を同時に施行した.
【結論】
心筋ストレイン測定は,特に非虚血性DCM症例において障害部位の決定に非常に有用であり,外科的治療の大きな手助けとなる.