Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
パネルディスカッション 領域横断2超音波検査教育体制の創造

(S265)

東北地方における血管領域の教育体制の構築

The vascular education system in Tohoku

船水 康陽, 三木 俊

Yasuharu FUNAMIZU, Takashi MIKI

東北大学病院診療技術部生理検査センター

Department of Clinical Physiology Center, Tohoku University Hospital

キーワード :

【当院における血管エコーの教育体制の現況】
東北大学病院生理検査センターは2012年(平成24年)8月に発足した新しい部門で全国の国立大学で初の試みである.全スタッフ数は35名で,そのうちエコー部門はスタッフ数9名,エコー装置9台で業務を行っている.<教育体制>新人教育として,「教育訓練の計画」を作成し検査項目,教育担当者,予定期間の決定を行い,教育担当者は「超音波検査作業手順書」をもとに教育を行う.そして「教育・訓練の記録」に基づいて各評価項目の実施可能の判定を行っている.スタッフ全体の教育として,各装置と接続した9台の外部モニターと検者と会話ができるマイクをエコー解析室に設置し,ベテラン技師がエコー技術の指導を行っている.また,各診療科のカンファランスへの参加や手術の見学を行うことで,検査ポイントの把握,検査結果のフィードバック,医師とのコミュニケーションなどを行っている.スタッフの管理としては,人事評価シート(行動評価,実績評価,自己研鑽,外部・内部研修会参加記録)をもとに,職務遂行行動,単年度から長期の目標設定と進捗状況,資格の取得や論文・学会発表などについてコーチングを行い,モチベーションの向上を図っている.
【東北地方における血管エコーの教育体制の現況】
東北地方では現在,血管エコーを学べる研究会やセミナーなどがいくつかあるが,私が携わった弘前超音波研究会,東北血管エコーセミナーの教育体制について述べるとともに,現在,準備中の東北血管研究会(仮称)についてご紹介する.<弘前超音波研究会>CVT認定機構が発足した2006年,東北地方では血管エコーを学ぶ場が少なかったため,同年,エコーを行う医療関係者の技術と知識の習得,臨床に関する情報交換を目的とし,弘前超音波研究会を立ち上げ,CVTや超音波検査士の育成とともに自己研磨を行ってきた.当会は春と秋の年2回定例開催しており,基本的な内容としてハンズオン,一般演題,ミニレクチャー,特別講演,そして研究会終了後は特別講演の講師を囲み情報交換や親睦を行い参加者の連携を深めている.また,当会はCVTおよび超音波検査士の資格更新研究会として認定していただいたこともあり青森県内のみならず,東北各県さらには北海道からなど幅広い地域からの参加者がいる.<東北血管エコーセミナー>東北地方におけるCVTおよび超音波検査士の育成,スキルアップを目的に2013年,東北血管エコーセミナーを設立し,2014年8月31日から9月1日に東北血管エコーセミナー2013(第1回セミナー)を開催した.内容としては特別講演(血管,心臓,検査技術など),教育講演(血管エコー,心エコー),ハンズオン(TC-CFI,頸動脈,腎動脈,下肢動脈,下肢静脈),サプライズレクチャー(血管エコーのライブデモ),情報交換会などを行った.参加者は,東北以外にも関東,近畿,中部などからもあり関心の高さが伺えた.<東北血管研究会(仮称)>今後の構想として,宮城県を中心に東北地方の血管無侵襲検査法に関する研究会を立ち上げる.東北地方にある脈管診療に関連する会が連携し,東北6県を年度おきに開催する予定である.この取り組みは東北地方における脈管診療に携わる医療従事者の連絡会や指導者の育成,教育方針,発表などを行い,東北地方における全体的な底上げが目的である.
【まとめ】
現在の東北地方における血管エコーの検査技術は地域格差があり,関東・関西にはまだ追いついていない現状である.将来的には東北地方のどの医療施設を受診しても同じレベルで診療できるように貢献したいと考え,少しずつ前進したい.