Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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cover

2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断9各領域の診断基準のポイントはここだ!

(S247)

頸動脈エコーを臨床に活かす:標準的評価法の改訂に向けて

Clinical significance of carotid arterial ultraqsonography

松尾 汎

Hiroshi MATSUO

松尾クリニック内科

MEDICINE, MATSUO CLINIC

キーワード :

頸動脈エコー検査は,日常診療で必須の検査法のひとつとった.その理由は,動脈硬化性疾患の増加や脈管疾患への関心の高まりと共に,その無侵襲的評価法としての役割や意義が広く知られるようになってきたからである.頚動脈エコーの対象は,①脳血管障害がある,又は疑われる場合,②動脈硬化が他の臓器(冠動脈,下肢動脈など)にあり,頚動脈狭窄が疑われる場合,更に③生活習慣病があり,動脈硬化が進展して頚動脈病変が疑われる場合などがある.さらに,最近では,生活習慣病の種々の治療効果の判定などでの代替指標(surrogate marker)としての応用も試みられている.提示された頚動脈関連の診断基準では,これから取り組む初心者にも分かり易く,適応対象,装置の設定,プローブの選択,体位,表示法から,さらに実際の検査手順を提示した.又,用語の定義や計測法,その臨床的意義についても簡単に触れている.Intima-media complex(IMC)の厚み(intima-media thickness: IMT)の計測法は,0.1mmまでの計測が求められる.更にプラークの分類(表面性状;smooth, irregular, ulcer,内部性状:homogenous, heterogeneous,輝度:high echo, iso-echo, low echo,可動性),狭窄率の評価(面積狭窄率,径狭窄率:内頚動脈にのみNASCET法&ECST法が用いられる)についても,頚動脈エコー独自の評価法があることを提示している.
頚動脈エコーのガイドラインとしては日本脳神経超音波学会からも提示されており,両者間で異なった定義や表示法などが認められたため,臨床で混乱を招いていた.また,経験者向けに,プラークの詳細な評価(可動性:mobile, jellyfish signなどが新しい)やドプラ法による狭窄率の評価も必要となるが,これらも含めて現在,両学会での統一化を図るべく,合同で改訂作業を開始した.平成26年度中には,その案の提示を行う予定である.更に生活習慣病・動脈硬化診療に頚動脈エコーが役立つことを祈念している.