舛本 法生¹, 角舎 学行¹, 宇津内 陽子², 網岡 愛¹, 梶谷 桂子¹, 恵美 純子¹, 重松 英朗¹, 春田 るみ¹, 片岡 健¹, 岡田 守人¹

Norio MASUMOTO¹, Takayuki KADOYA¹, Yoko UZUUCHI², Ai AMIOKA¹, Keiko KAJITANI¹, Akiko EMI¹, Hideo SHIGEMATSU¹, Rumi HARUTA¹, Tsuyoshi KATAOKA¹, Morihito OKADA¹

¹広島大学病院乳腺外科腫瘍外科, ²広島大学病院診療支援部

¹Department of Surgical Oncology, Hiroshima University, ²Department of Clinical Practice and Support, Hiroshima University

キーワード :

【対象と方法】
症例は2012年9月〜2013年4月までに乳腺腫瘍に対してCEUSをおこなった症例を対象とした．良性腫瘍は14例，悪性腫瘍は98例．悪性症例はすべて乳癌症例で非浸潤性乳管癌（DCIS：ductal carcinoma in situ）17例，および浸潤性乳管癌（IDC：invasive ductal carcinoma）81例ついて検討した．
使用した超音波装置はHI VISION ASCENDUS（Hitachi Aloka Medical）で，Sonazoidを0.01ml/kgで静注し，約50〜60秒間，腫瘍の断面をプローブ固定し撮影した．また客観的評価のため，輝度の強さと時間変化を表すTime Intensity Curve（TIC）を作成し，腫瘍内血流のParameterとして，最高輝度（Peak intensity：PI），最高輝度到達時間（Rising time：RT）を測定・算出し解析を行った．
①DCISとIDCにおける造影パターンおよびTICによる評価について，②IDCにおける悪性度とTICにおけるParameterの検討，③術前化学療法におけるTICを含めた効果判定への応用について検討した．
【結果】
1）IDCとDCIS症例の検討
IDC症例において①強い濃染②不均一な濃染③欠損パターンが多い特徴を示した．またTICにおいてPIがIDCのほうが強い傾向を示した．
2）IDCにおける悪性度とTICにおけるParameterの検討
病理学的因子との関連性についてTICを作成し客観的に検討した．ER陰性症例でPIの高い症例が多い特徴を示した．サブタイプ別に評価すると，Luminal A typeと比較してHER2 typeやtriple negative typeでPIが高い傾向を示した．
またPIと増殖能のマーカーであるKi-67は相関関係を示している可能性が示唆された．
3）術前化学療法の効果判定
術前化学療法が著効した症例は腫瘍への造影効果が著しく減少していた．TICにおけるPIは著しく減少していた．
【結論】
CEUSは，Time Intensity Curveから輝度の強さを数値化し客観的に解析することでDCISとIDCの鑑別，腫瘍の悪性度の評価，術前化学療法の効果判定に有用な可能性があることが示唆された．今後，治療方針の決定にCEUSが応用でき得る可能性がある．