Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

特別企画 領域横断
シンポジウム 領域横断2組織弾性評価手法の現状と将来動向

(S217)

泌尿器科における組織弾性評価法‐前立腺癌を中心に‐

Elastographic diagnosis for Urological disease

堤 雅一1, 宮川 友明2

Masakazu TSUTSUMI1, Tomoaki MIYAGAWA2

1日立総合病院泌尿器科, 2自治医大大宮医療センター泌尿器科

1Department of Urology, Hitachi General Hospital, 2Department of Urology, Jichi Medical School Ohmiya Medical Center

キーワード :

古くから直腸診(DRE)を診断の一つの手段にしてきた前立腺癌診断において,組織弾性超音波は有効な手段であり,多くの報告でその有用性が発表されている.しかしながら,①経直腸プローブを使用する前立腺超音波は,可動域が狭いうえに操作性も悪いため,断面ズレや不適切な圧迫が生じやすく,画像の再現性が悪いこと,②前立腺は乳腺組織などに比較して,腫瘍〜正常組織間の硬度の差が少ないうえ,辺縁域,移行域など硬さの違ったコンポーネントが一つの臓器に存在する故,腫瘍と正常の差を出すことはより困難であることより,乳腺領域ほど普及していないのが現実である.①の問題点に関してはバルーン圧迫法によりある程度の客観性を持たせることに成功した.実例を示すと,図1において,B-modeでlowにみられた部位(A)に摘出検体において癌組織が認められたが(B),手押し法(C)より,バルーン圧迫法(D)でより正確に癌局在が示された.ただし,やや操作が煩雑になる傾向があり,自動化が望まれる.②の問題に関しては実際の摘出標本で,辺縁域,移行域などのそれぞれの硬さ,腫瘍部位の硬さの絶対値を調べ,“前立腺仕様”のカラーマップ作製で,ある程度解決される可能性は高い.当シンポジウムにおいて,我々の知見も一部示す.いずれにしても,現在のところ,前立腺の組織弾性超音波は腫瘍の部位診断に留まっており,質的診断には至っていないことが現実である.また,現時点では,前立腺領域の診断基準,評価基準が整備されていないため,これらの整備が急務となっている.