Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

共同企画6
光超音波画像研究会・基礎技術研究会共同企画超音波マルチモダリティ技術の最新動向

(S206)

光干渉法によるハイドロホン感度校正法の高周波化

Hydrophone calibration technique upto 40 MHz using optical interferometry

松田 洋一

Youichi MATSUDA

(独)産業技術総合研究所計測標準研究部門

National Metrology Institute of Japan, Advanced Industrial Science and Technology

キーワード :

【目的】
高解像度医用超音波機器から出力される超音波音圧振幅を評価するために,20 MHzを越える周波数でのハイドロホン感度校正が求められている.これまで我々は,0.5 MHzから20 MHzの周波数帯域において,光干渉法を用いたハイドロホン感度校正を行い,超音波音圧標準を供給してきた.今回は,広帯域の小型平面振動子によって発生させた遠距離音場を使用し,校正周波数上限を40 MHzに拡張した.市販メンブレン型ハイドロホンの校正結果及び校正不確かさを報告する.
【背景】
光干渉法による感度校正では,被校正ハイドロホンへの入射音圧振幅を定量的に計測するために,光を反射するフィルムを水中(透過法)または水面(反射法)に設置し,これに垂直入射した平面波超音波の変位振幅を光干渉計により検出する.従来20 MHzを越える周波数における感度校正では,光干渉計で検出可能な超音波変位振幅を得るために,校正用音源として収束超音波を採用し,その焦点付近で校正を行っていた.しかし収束超音波では,その焦点付近における波面は平面と見なせるとしても,そのスポット径は非常に小さい.このため集束超音波を音源とする感度校正法には,位置合わせ誤差や回折に起因する校正不確かさが大きいという問題がある.また透過法を用いた収束超音波の変位振幅計測では,音響光学効果を補正する手法が確立されていない問題も残されている.
【方法】
20 MHzを越える周波数での感度校正における上記問題を解決し,しかも広い校正帯域を1個の振動子でカバーするために,広帯域の小型PVDF平面振動子(半径a = 1 mm, fc = 40 MHz)から発生させたトーンバースト超音波の遠距離音場(伝搬距離50 mm)を用いた校正を考え,市販メンブレン型ハイドロホンの感度(10 MHz-40 MHz)を計測した.
【結論】
10 MHz - 40 MHzのトーンバースト超音波を光干渉計及び市販メンブレン型ハイドロホンを用いて明瞭に検出し,ハイドロホン感度を求めることができた.40 MHzにおける超音波変位振幅は,我々の現有校正装置の20 MHzにおけるそれの2倍以上であった.図1に校正結果を示す.10 MHz - 20 MHzにおけるハイドロホン感度の校正結果は,現有校正装置によるそれと良い一致を示した.また20 MHz - 40 MHzの周波数帯域における校正結果の相対拡張不確かさ(信頼性の水準95%)は,10%から13%であった.