Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

共同企画2
日本消化器内視鏡学会附置研究会 超音波内視鏡下治療研究会共同企画消化器領域におけるEUS-FNAの現在とこれから

(S185)

EUS-FNAの対象と手技の実際

Spectrum and real procdure of endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration (EUS-FNA)

松田 浩二

Koji MATSUDA

聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院消化器内科

Department of Gastroenterology, St. Marianna University Yokohama-city West Hospital

キーワード :

【背景】
1992年にVilmannによって最初に報告されたEUS-FNA(Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration:超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引術)は,超音波内視鏡(EUS)を用いて,リアルタイムに観察しながら専用の穿刺針を用いて組織を採取する手技である.
【目的と対象】
本邦における現状での適応は,①(切除不能な)膵腫瘍 ②食道癌及び肺癌における縦隔リンパ節 ③既知及び未知の坦癌患者における腹腔リンパ節 ④傍結腸(直腸)リンパ節及び腫瘍 ⑤原因不明の後縦隔腫瘍 ⑥坦癌患者の胸・腹水 ⑦粘膜下腫瘍などと,非常に幅広い.
現状における禁忌は,①FNAの結果が,治療方針に反映しない場合 ②標的を描出することが出来ない場合 ③腫瘍や血管が,管腔と標的の間に存在する場合 などとされている.また,膵嚢胞性病変への複数回の穿刺も,腹腔内播種を否定できないとされているので,注意を要する.
合併症としては,①出血 ②穿孔 ③感染 ④膵炎 などがあげられる.
【方法】
本邦で市販されている内視鏡機材は,オリンパスメディカルシステムズ社,ペンタックス社,フジノン社から,専用の穿刺針は,オリンパスメディカル社,Cook社,ボストン・サイエンティフィック社等からリリースされている.針の太さに関しては,19ゲージ,22ゲージ,25ゲージなどが市販されており,先端に側溝があるものも確実な組織診を目的として販売されている.
実際の穿刺方法は以下の通りである.
①スコープを挿入し,スコープの先端につけられている探査子を,上部および下部消化管壁越しに病変にあてる.
②カラー・ドプラ・モードで穿刺経路に血管が介在していないことを確認する.介在している場合は,探査子の位置を微妙に変更して介在しないようにポジショニングをおこなう.
③穿刺針の外筒が鉗子口から確実に出ていることを内視鏡画像上で確認する.
④通常探査子の6〜7時位置に病変を位置させる.
⑤穿刺針の方向が病変の中心に位置するようにした後に,針を病変に刺入する.
⑥前もって数センチ抜去しておいたスタイレットを押し込むことにより,押し出された空気を超音波画像上で確認して,実際の先端を確認する.
⑦スタイレットを抜去し,穿刺針にシリンジを装着し陰圧をかけ,病変内で10数回穿刺針を前後させる.この際に,針の中に組織が吸引される.
⑧シリンジの陰圧を解除した後に,針を病変から抜去する.
⑨得られた検体を用いて細胞診・組織診を行う.検体が不十分な場合は,再度施行する.通常,3〜4回の穿刺で検体を得ることが出来る.
【結論】
EUS-FNAは,通常の内視鏡で生検不可能な部位からの組織採取を,他のmodalityよりもリアルタイムに,かつ,正確に得ることが出来るため,非常に重要なmodalityとして位置づけられている.
【考察】
初期の頃は,欧米主導でおこなわれていたEUS-FNAは特に2010年に保険収載されてから,積極的に各施設での導入が進んでいる.益々増加してくるであろうEUS-FNAのニーズに対する今後の課題としては,より高い組織採取率をもたらす器具の開発や検体の処理方法などがあげられる.